2023年
3月24日(金)

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次の世代へ継承の取り組み 盛岡芸妓のいま(上) 市民の親しみ生むお座敷講座企画 後援会「ひよ妓」の育成も目指す

2023-01-17

「盛岡芸妓・お座敷体験講座」で「金山踊りからめ節」を披露する盛岡芸妓=盛岡市本町通の駒龍

 城下盛岡で長唄や踊り、常磐津などの芸を身に付け、お座敷での披露とおもてなしを担ってきた盛岡芸妓(げいぎ)。明治後期から大正には100人以上がいたとされるが、現在盛岡芸妓として活動しているのは6人(休業中を含めると7人)。全国的に花柳界が衰退傾向にあり、活動の場である料亭が減少する中、盛岡の文化として盛岡芸妓を次世代に継承しようとさまざまな取り組みが実施されている。(藤澤則子)

 昨年11月、盛岡市本町通の料亭駒龍で開かれた「盛岡芸妓・お座敷体験講座」(いわてアートサポートセンター、盛岡観光コンベンション協会、盛岡芸妓後援会主催)には、約30人の市民が参加。盛岡芸妓の踊りや唄を鑑賞し、お座敷遊びを体験した。

 この日は、盛岡芸妓のよう子姐(ねえ)さん、あき子姐さん、てい子姐さん、富勇姐さんが出演し、盛岡芸妓のお座敷には欠かせない「金山踊りからめ節」などを披露した。同曲は、秋田県鹿角市と紫波町の「からめ節」をルーツにするもので、金鉱石をざるで精選するしぐさが特徴的。トラなどのジェスチャー表現を使ったじゃんけん「とらとら」などのお座敷遊びには客も参加し、芸妓衆との粋なひとときを味わった。

 関西から盛岡市へ転居し、夫とともに盛岡芸妓に魅了されたという50代の女性は「踊りを間近で見て、指先の動きなどからこまやかな情感が伝わってくるようだった」と感激。「盛岡の文化として、残していってほしい」とうなずく。

 同体験講座は、盛岡芸妓の世界を知ってもらい、気軽に芸に親しんでもらおうと企画され、この日は2022年度の最終講座(3回目)。参加者を新型コロナワクチン3回接種者に限定し、食事のテーブルに仕切りを設置するなど感染症対策を講じて実施した。

 盛岡芸妓後援会(会長・谷村邦久盛岡商工会議所会頭、個人・法人200会員)は、盛岡芸妓見習い「ひよ妓(こ)」の育成事業に取り組む。

 3人の見習い芸妓を採用した盛岡市の伝統芸能継承活用事業(ふるさと雇用)を引き継ぐ形で、2015年度から市の補助を受けて盛岡芸妓見習い「ひよ妓(こ)」の育成を開始した。

 同年に2人を採用して、稽古での修練を積み盛岡芸妓として一本立ちするまでを支援。先輩姐さん方の熱心な指導で、一人が盛岡芸妓として一本立ちした。

 一方、平成に入ってから市、同後援会が採用した芸妓見習いで、現在活動しているのは富勇さん(12年に盛岡芸妓として一本立ち)一人で、新たな「ひよ妓」の採用と育成が課題だ。

 同後援会では22年、募集期間を設けて募集したが採用に至らなかったため、今年度中は継続して募集を続ける予定。盛岡芸妓に広く関心を持ってもらうため、今後、市交流推進部や関係機関と連携を取りながら募集方法などについて検討していくという。



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