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落語で防止呼び掛け 佐々木憲親事務局長(盛岡市安全協会) 交通安全や犯罪被害 ボランティアで〝高座〟

2019-10-22

落語を熱演しながら交通安全や犯罪被害防止を呼び掛ける佐々木憲親さん

 盛岡市交通安全協会事務局長の佐々木憲親さん(68)は、落語を交え、交通安全や犯罪の被害防止を呼び掛ける活動をボランティアで続けている。ユーモアがあり、飽きずに楽しく聞けると大好評。高齢者が集まる交流会などの講師として招かれる機会が増え、今年度は40回を超える「高座(講座)」を務める。

 盛岡市名須川町の仁王老人福祉センターでは4日、一人暮らしの高齢者らを対象にした交流会(仁王地区福祉推進協議会主催)が開かれ80人余りが参加。佐々木さんは落語5演目を交えて交通安全や犯罪被害防止を訴えた。

 古典落語「松山鏡」では、鏡を見たことがなく、鏡の中の自分を父親だと信じ込む男と妻のドタバタ劇を演じながら「亡くなった人を思う気持ちは昔も現在も変わらない。交通事故は防げるもの。絶対に遭わない、起こさない」と力説。鳥の仕留め方で笑いを誘う「鷺(さぎ)とり」では、鷺を詐欺に掛け、特殊詐欺の被害防止を説いた。耳を傾けた伊藤文男さん(72)は「ユーモアがあって分かりやすかった」とにっこり。熱演に拍手を送った。

 佐々木さんは大船渡市出身。1972年に県警察官を拝命し2013年に退職するまで40年、県警本部や県内各署で勤務した。40年のうち20年は生活安全課(防犯課)勤務で被害者支援や市民からの相談業務にも関わった。子どもの頃から人前で笑いを取るのが得意。歌も大好きで、県警音楽隊のステージでは、たびたび自慢ののどを披露した。

 交通安全講話に落語を取り入れるようになったのは、県警退職後、銀行の非常勤職員を経て16年に現職となってから。ある公民館から「高齢者に話を聞かせるのに落語はできないか」と打診され、挑戦したのがきっかけだった。予想以上に評判が良く、あちらこちらから依頼が舞い込むように。今では、着付けなどをサポートしてくれる妻の弘子さん(67)と県内各地へ足を運ぶ。

 「30はある」というレパートリー中でも大事に演じているのが「孫、帰る」。事故で亡くなった娘と孫を思う男の気持ちを代弁する落語家柳谷喬太郎の名作だ。仲むつまじく祖父と語る孫は、既にこの世の人ではない。「おじいちゃん、僕まだ死にたくなかったなあ」「けんちゃんも、お母さんも悪くなかったんだよ。悪いのは信号を無視したトラック」…。ほろりとする人情話に乗せ、命の大切さを訴える。

 「目の前のお客さんの反応がじかに感じられるのが落語の魅力」と佐々木さん。「好きで打ち込めることを通して、交通安全や犯罪の被害防止に役に立てるのなら、こんなうれしいことはない」とやりがいを語る。



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