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- 県産材を使う意義など知る 県立大盛岡短期大学部 SDGsに通じる理念も 岩泉純木家具 工藤社長が講義
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2023-01-25
県産材を使った椅子の座り心地を確かめながら、岩泉純木家具の工藤林太郎社長の話を聞く県立大盛岡短大部生活科学科2年生
滝沢市の県立大盛岡短期大学部生活科学科の2年生は24日、岩泉純木家具(本社・岩泉町)の工藤林太郎社長(41)から県産材を活用した家具作りについて講義を受けた。学生たちは、県産材を使う意義や暮らしの中に地域で作られた物を取り入れる豊かさについて学んだ。
同学科の「岩手のくらしと工芸」の授業の一環で、生活デザイン専攻の23人が受講。会場には本県の広葉樹で作られた椅子が用意され、学生たちは同じデザインで座面の高さが2㌢ずつ異なる3脚の座り心地を確かめながら、話を聞いた。
工藤社長は、木製品の現状や木材の流通について解説。国産材を使う意義について「CО2(二酸化炭素)排出量の削減」「違法伐採/森林資源減少の抑制」「地域産業の活性化」などを挙げた。
本社工房がある岩泉町にとっては、林業が失われると、伐採業者、木材チップ工場などが廃業するだけではなく、ガソリンスタンドや商店なども影響を受け、間接的に人口が減少する恐れがあると説いた。
同社の経営理念は「三百年生きてきた木は三百年使える家具に」。現在のSDGs(持続可能な開発目標)に通じる理念を、創業時の1975年から実践していたことを紹介。
工業デザイナー秋岡芳夫さん(故人)の言葉を借りて、「ものを愛用するということは、高価なものを大事に長く使うことではなく、自分が使いやすくあつらえたもの(オーダー)、自ら使いやすく作り変えたものを使うこと」とし、学生たちにはオーダーしたものを愛用してみることや地域に根差した工芸や食を楽しみ、地域経済に目を向けることを勧めた。
講義を受けた野沢史羽さん(20)は「これまでオーダーの家具は使ったことがなかったが、職人さんのこだわりや大手メーカーとの違いも知ることができた。卒業後は建設関係の仕事に就く予定なので、きょう学んだことを生かしたい」とうなずいていた。
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