2023年
3月24日(金)

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個人情報入ったUSB紛失 昨年10月、患者1894人分 岩手医大附属病院 発覚まで2カ月以上経過 小笠原病院長「心からおわび」

2023-02-03

盛岡市内で会見し、謝罪する小笠原病院長(右)

 岩手医科大学附属病院(矢巾町、小笠原邦昭病院長)は2日、昨年10月に患者1894人分の個人情報の入ったUSBメモリを紛失したと発表した。2021年12月1日から22年9月30日の間に薬剤治療を受けた患者の名前、年齢、主治医、薬品名、調剤に必要な関連情報などが含まれる。現時点で、不正利用などの被害は確認されていない。発覚まで2カ月以上経過した上、同病院では過去にない規模の事案。盛岡市内で会見した小笠原病院長は「このような事態を招き、ご迷惑と不安を与えた患者さま、ご家族に心よりおわびする」と陳謝した。

 会見によると、紛失は同病院の薬剤部内で発生。昨年10月1日、勤務する薬剤師が会議資料を作成するため、薬剤システムからメモリへ個人情報をコピーした。自身の机に置いていたが、同5日に紛失に気付いた。

 紛失を上司の主任薬剤師に報告はしたが、個人情報が入っていることは伝えなかった。その後、薬剤部長が事態を把握したのが12月9日、病院長まで報告が届いたのが同21日。同日、国へ報告した。個人情報に係る報告は発生から5日以内に行う義務があるが、2カ月半以上遅延した。

 メモリにはパスワードがかかっているが、現在も見つかっていない。薬剤部内は関係者以外立ち入り禁止で、部外者による持ち出しの可能性は低い。出入りしていた職員、学生ら約80人に対し調査も行った。

 発生と把握の遅れについて、▽所定の場所に保管をしていなかった▽資料作成後に個人情報を削除するよう院内では規定していたが、薬剤部内のマニュアルには記載がなく、整合性がとられていなかった▽初期段階で上司が個人情報の有無を確認しなかった―などと説明。

 再発防止策として、▽各部のマニュアルの全改定▽全職員を対象とした研修▽薬剤部を対象とした情報管理に係る研修―を行う。

 該当する患者には謝罪文を送付済み。関係者の処分は今後検討するという。

 小笠原病院長は「報告があまりにも遅く、情報共有の足りなさが露呈した。今回の件を真摯(しんし)に受け止め、個人情報に対し職員全体で対策を強化する。二度とこのようなことがないよう県民の皆さまにお誓いしたい」と述べた。



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