2023年
3月24日(金)

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一般会計は総額7714億円 「県民が力を発揮する」 県の23年度当初予算案 コロナ対策分914億円

2023-02-07

 県は6日、2023年度県一般会計当初予算案の概要を発表した。総額は7714億円で、東日本大震災津波発生後の編成では最小を更新した。「いわて県民エンパワー(力を発揮する)予算」と名付けられ、復興を着実に進めつつ、人口減少対策に掲げた重点4項目に大胆に予算を措置した。ほかの特別・事業会計の当初予算案とともに、15日招集の県議会2月定例会に提出される。

  ■概要

 県によると、一般会計の総額は22年度当初予算と比べ208億円(2・6%)の減。内訳をみると、震災分は事業の進捗により、366億円と同比111億円(23・4%)の減。通常分は7349億円で同比97億円(1・3%)の減。通常分のうち、新型コロナウイルス感染症対応分は914億円で同比52億円(同5・4%)の減。総額と震災分は8年、通常分は2年連続の減少。

 歳入確保のため、県として初のグリーンボンド(環境債)を70億円程度発行する。対象事業の一部は、ブルーボンド(海洋環境債)としての外部認証も取得し、震災で被災した三陸海岸の海洋と沿岸の保全強化にもつなげる。

 財政健全化に向けた取り組みの結果、四つの財政目標(財政調整基金の取り崩し100億円以内、プライマリーバランスの黒字維持、公共施設にかかる県民一人当たりの負担額1万2千円以下、財政調整基金の現行水準の維持)はいずれも達成または達成見込み。特にプライマリーバランスは12年連続の黒字達成で、黒字額は418億円となる計画。黒字幅は前年度比114億円拡大する見通し。

 23年度当初予算後の県債残高は約1兆1900億円となる見込み。臨時財政対策債を除いた県債残高は約7400億円と、ピーク時(2002年度)と比較し6割程度の水準となる。

 国の補正予算に呼応して編成する22年度一般会計補正予算と一体的に、県内経済の活性化を推進する。県議会2月定例会初日に、一般会計補正予算(第8号、補正額約337億円)を提案する予定。

  ■歳入

 内訳は多い順に、地方交付税2212億円(構成比28・7%)、諸収入1338億円(同17・4%)、県税1292億円(同16・8%)。

 県税は法人事業税や軽油引取税の減により、15億円の減。地方交付税は46億円増加した一方、実質的な交付税である臨時財政対策債が72億円減少した。

 諸収入は23億円の減。県債は126億円の減。臨時財政対策債の減少に、定年引上げに伴う退職手当債の減少が重なった。

 震災分の予算111億円の減少は、中小企業東日本大震災復興資金貸付金元金償還金の減少などが要因。

  ■歳出

 内訳は、義務的経費2679億円(構成比34・7%)、投資的経費923億円(同12・0%)、その他の経費4111億円(同53・3%)。投資的経費のうち、公共事業費は557億円(同7・2%)。

 復興関係で、新たに地震・津波対策緊急強化事業に1億2千万円を計上。本県最大クラスの津波被害想定を踏まえ、沿岸市町村が行う避難対策や自主防災組織の育成・活性化など犠牲者ゼロを目指す取り組みに要する経費を補助する。

 四つの重点項目である▽人口の自然減・社会減対策▽GX(グリーン・トランスフォーメーション)▽DX(デジタル・トランスフォーメーション)▽安全・安心な地域づくり―の推進へ、計1060億円(新規事業分82億円)を計上した。

 「人口の自然減・社会減対策」では、不妊治療に要する交通費の一部助成、第2子以降の3歳未満児保育料無償化や在宅育児支援を行う市町村への補助などのため、217億円を盛り込んだ。

 GX推進関連は、120億円を計上。省エネルギーの対策の推進など地域経済と環境に好循環をもたらす持続可能な成長を促進する。温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた県民運動も展開する。

 DX推進事業費は44億円を盛り込んだ。▽行政▽産業▽社会・暮らし―の3分野のDX促進とDXを支える基盤整備を図り、県民生活の利便性向上、情報通信インフラの整備を進める。

 「安全・安心な地域づくり」では、東日本大震災津波や新型コロナ対策の経験を踏まえ、災害や新興感染症などさまざまなリスクへの対応を図る。事業費は680億円を計上している。

 【主要事業は8日付紙面に掲載します】



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