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- 新しい素材に可能性感じ アカシヤヨギーの淺田悦輝代表 ウルシの実で壁飾り 小西美術工藝社二戸支社から 材料の提供受け
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2023-02-12
ウルシの実を素材にしたスワッグ(壁飾り)をデザインした淺田悦輝さん
二戸地域のウルシの実が、ナチュラルなインテリアに―。盛岡市のフラワーデザイナーで雑貨店「アカシヤヨギー」代表の淺田悦輝さん(45)は、山から採取されたウルシの実をデザインし、自然の葉や実を取り合わせてスワッグ(壁飾り)を制作した。ウルシの実は、活用方法を模索していた小西美術工藝社二戸支社(二戸市安比、福田達胤支社長)から提供を受けたもの。淺田さんは「岩手の漆の文化を背景に、新たなものを生み出すことに関わることができてうれしい」と意欲を見せる。
スワッグは、花や葉のついた枝などを束ねて作る壁飾り。今回、ウルシの実で作ったスワッグは、「アカシヤヨギー」(盛岡市大通3丁目7の9、東北堂ビル3階)に15点ほど展示。大きさに応じて800円代から3千円代で販売している。
ウルシの実の素材感を生かすため、自然素材にこだわり、飾りのリボンにも麻を使用。当初はリースにすることも考えたが、輪にする過程で実が落ちることを防ぐため、小分けした枝の形をそのまま生かした。
「どのようにすればより美しく見えるか、一つ一つデザインを考えた」と淺田さん。「岩手が漆塗りで有名なことは知っていたが、ウルシの実を扱ったことで、その背景にある自然や文化を学ぶきっかけになった」。
ウルシの実は、和ろうそくが盛んに生産されていた時代には原料の「漆ろう」として需要があったが、実から絞り採れるろうは少量で、商品化につなげるのは難しい。
重要文化財の修復に使う漆の生産に取り組む同社二戸支社の福田支社長(39)が活用方法を考えていたところ、世界水泳選手権大会(2011年、上海)表彰式の花束デザインなどを手掛けた淺田さんの存在を知った。
昨年11月ころ、同社がウルシの木から採った枝の中から、実の色が明るくきれいなものを集めて淺田さんに提供。ウルシの実が木にぶら下がっている光景は、「二戸地域の人たちにとっては見慣れた風景の一部」というが、新たな活用ができないかと相談した。
出来上がったスワッグを見た福田支社長は「素材を生かしながら、これまでにない、想像以上のものになった」と手応え。今後、淺田さんの店舗での反応を聞きながら活用を考えていきたいという。
淺田さんは「花材としても面白い。自然素材のため、流通させるためには規格をそろえる難しさや運搬時の課題はあるかと思うが、新しい素材として可能性を感じる」と、引き続き連携する考えだ。
「アカシヤヨギー」は正午から午後7時、火曜定休。電話070―1142―6076。
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