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- 点字パネルを新設 ヘレン・ケラーの植樹跡地 「やれぬことはない」 いまも生きる激励の言葉
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2023-04-05
新たに設置された点字ボード(左)
盛岡市北山の県立盛岡視覚支援学校は、ヘレン・ケラー(1880ー1968)が同校内で植樹した跡地に、新たに点字ボードを設置した。米国の作家で講演家のケラー女史は1937(昭和12)年、同校を訪問。生徒たちに向けた講演で「私達は決心さえつけば、やれぬことはない。互いに協力して手を握りあって幸福になりなさい」と激励したという言葉が、ボードに刻まれている。
交流の記念に植えられたのは「ドイツトウヒ」。初代の木は1987年の台風により倒木したため、現在はその意志を受け継いだ二代目が大きく育っている。
2015年にヘレン・ケラーとのゆかりを説明する解説パネルを設置したが、運動場の金網内であったため、通行人に伝わりにくい面があった。近年は木の成長に伴い、フェンスの下部が根に食い込む問題も生じた。
ヘレン・ケラーの植樹跡で大きく育っている二代目のドイツトウヒ。点字ボードの設置を喜ぶ高橋縁前校長
今回の再整備は、同校が21年に迎えた創立110周年記念事業の一環として実施。一画の金網を撤去し、点字のボードを新設。歩道からすぐに視認できるようにした。3月に卒業を迎えた高等部の生徒からは、木の脇に手づくりのベンチを設置するアイデアが出された。中学部の生徒は花のプランター設置を協力して行った。
新装した植樹跡地を前に、3月31日付で退職の日を迎えた高橋縁校長も目を細めた。
「ヘレン・ケラーが実際に本校に訪れ、木を植えた歴史がある。近隣の方にも知っていただければ。本校は障害を持っている人のための学校。困っている人がいたら、お声掛けいただきたい。地域の方々のご理解につながってほしい」と晴れやかな表情で語った。
同校の田淵健副校長は、ドイツトウヒに面する歩道を「地域の方々の憩いの場となり、〝ヘレン・ケラー通り〟として親しまれてほしい」と望んでいた。
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