2023年
6月9日(金)

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安心して子育てを 「いわてリトルベビーハンドブック」作成 低出生体重児育てる家庭向け 今月中旬から配布

2023-04-11

 「いわてリトルベビーハンドブック」の完成を喜ぶ「めんこいわらしっこ」の浅利代表(右)と畑澤さん

 県は、低出生体重児を育てる家族を対象にした母子健康手帳の補助冊子「いわてリトルベビーハンドブック」を作成した。低出生体重児、特にも出生体重1500㌘未満の赤ちゃんを育てる親は、乳児の平均的な身長・体重の推移とわが子の発育の違いに不安を感じたり、周囲の理解のなさから孤独を感じることがある。本ハンドブックは、先輩家族からのメッセージを掲載し、わが子の発育に応じた成長記録などを書き込めるようにすることで、前向きな子育てを支援するもの。4月中旬から、新たに出生した対象者の家族や希望者に配布する。

 低体重で生まれた赤ちゃんの家族が集まる県内のサークル、リトルベビーサークルいわて「めんこいわらしっこ」代表で、同ハンドブック作成を県に働きかけた浅利美咲さん(29)=奥州市水沢=は「いまお子さんが入院しているお母さんたち、出産して間もない気持ちの落ち込みも激しいお母さんたちに、1日でも早く届けたい」と思いを示した。

 同ハンドブックはB6判、56㌻。「赤ちゃんのママ・パパになったあなたへ」「治療の記録」「成長と発達の記録」「知っておきたいこと」の4章構成。

 早産などで小さく生まれた赤ちゃんは、市町村から交付される母子健康手帳の月齢ごとの発達の目安に当てはまらないことが多かったが、本ハンドブックでは、他と比較することなく、赤ちゃんの身長・体重の成長曲線を記録できる。

 個人差はあるが、低出生体重児の成長曲線の目安についてもQRコードで確認できる。NICU(新生児集中治療室)の記録を記載する欄や、小さく生まれた赤ちゃんに起こりやすいこと、受診時のポイント、困ったときの相談先なども掲載した。

 3月30日に県庁で贈呈式があり、浅利さんとハンドブックの表紙をデザインした同サークルの畑澤美樹さん(35)が出席。


 4月中旬から配布される「いわてリトルベビーハンドブック」

 達増知事が「このハンドブックがご家族の皆さんにとって、小さく生まれた不安を和らげ、お子さんの成長を喜びながら見守っていく一助になれば」とあいさつし、浅利さんに同ハンドブックを手渡した。

 浅利さんは「これから低体重で生まれたお子さんを育てる家族の皆さんに、少しでも前向きに子育てしてほしいという思いで活動してきた。実を結び、とてもうれしい。低出生体重児を育てるには、周囲の理解がなくてはならない。周りの人を尊重して、支え合える岩手県であってほしい」と願った。

 県によると、2021年に県内で生まれた6472人のうち、2500㌘未満は609人。うち1500㌘未満は42人。過去5年間のデータによると、2500㌘未満は約10%、1500㌘未満は約1%となっている。

 本ハンドブックの作成は、同サークルによる22年6月県議会への請願を受けて、岩手医大の専門医や保健師らで内容を検討し、22年度内に完成した。

 対象以外(出生体重1500㌘以上)の赤ちゃんを育てている家族にも、希望者には市町村の窓口などを通して配布する予定。



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