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- 石川啄木記念館 53年のあゆみを紹介 大規模改修での休館前に アルバムから厳選の写真展示 現天皇陛下の姿も
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2023-04-15
石川啄木記念館で開かれている収蔵資料展「記念館のアルバムから」来館した湯川秀樹博士の姿が見える写真もある(左)
盛岡市渋民の石川啄木記念館(森義真館長)は、収蔵資料展「記念館のアルバムから」を同館展示室で開いている。大規模改修工事に伴う5月11日からの休館を前に、53年のあゆみを同館所蔵の懐かしい写真や寄贈資料で紹介。展示されている写真は、同館が所有する20冊のアルバムから選んだ約40点で、ゆかりの人々や地域住民から寄せられた資料とともに、「人」「資料」「風景」の三つの視点で振り返っている。5月7日まで。
同記念館は、啄木の顕彰と資料収集、保存、情報提供を目的に啄木の古里渋民に1970年開館。現在の記念館は、啄木が詩「家」(詩稿ノート「呼子と口笛」)の中で古里に建てたいと願った西洋風の家からデザインし、生誕百年記念館として86年に開館した。
アルバムの写真は、同館の歩みや半世紀以上にわたる来館者との交流を伝える。
71年2月、岩手大での講演のために来盛した物理学者湯川秀樹博士が、本人の強い希望で来館したときの貴重な写真もある。湯川博士は、啄木が幼少期を過ごした宝徳寺も訪れ、ちょうど飛んできた啄木鳥(キツツキ)に「啄木の魂がよみがえった」と喜んだというエピソードもある。
同館ではこれまでに約220万人の人たちを迎え、2代目佐藤正美館長の時代に「来館者」と表紙に書かれたアルバムには、全国から訪れた啄木ファンと館長が写真に収まる姿を多く見ることができる。
70~80年代の写真には、学習院中等科3年だった浩宮さま(現在の天皇陛下)が本県への修学旅行で、学習院大生だった礼宮さま(現在の秋篠宮殿下)と結婚前の紀子さまが自然史研究会の旅行で来館されたときの写真も展示されている。
記念館に寄贈された資料では、啄木の母校である渋民小学校にあった「啄木資料室」から、代用教員時代の啄木の赤字(添削)が残る「国語綴方帳(つづりかたちょう)高等科」(1906年)など故郷ならではの資料も並ぶ。
啄木の親族から寄せられた三浦(石川)光子関係資料からは、啄木が2歳下の妹光子に宛て、親孝行するように言いつけた書簡なども公開されている。
記念館開館前の60年代の渋民の風景や旧記念館の開館式、現記念館の建設の様子を記録した写真もあり、訪れた人の関心を集めている。
藤田麗学芸員は「当館が地域の人たちをはじめとする多くの人に愛され、大事にされてきた歴史も感じることができる。改修工事に入る前に、多くの方に見ていただきたい」と来館を呼び掛けている。
同館は玉山歴史民俗資料館との複合施設として2024年度に開館する予定。
午前9時から午後5時(入館は同4時半)まで。入館料は、一般300円、高校生200円、小中学生100円。盛岡市の中学生以下と同市内に住所を有する65歳以上は無料。電話019―683―2315。
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