2023年
6月9日(金)

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案内やサービス拡充、発信に力点 「行くべき」の追い風に乗って 盛岡市のおもてなし態勢着々

2023-04-22

JR盛岡駅北口の臨時観光案内所で旅行者の相談に対応するスタッフ

 1月に、米国ニューヨーク・タイムズ紙の「2023年に行くべき52カ所」に挙げられた盛岡市。新型コロナウイルスの流行が落ち着きを見せる時期、春の観光シーズンとも重なり、同市を訪れる観光客は昨年と比べ増加している。市では、この追い風に乗って国内外の人々に市の魅力を発信しようと、幅広い観光PRや、おもてなし態勢の整備を進めている。(相原礼以奈)

 同市を訪れる旅行者の相談などに対応しているのが、JR盛岡駅南口のいわて・盛岡広域観光センター。4月1日からは盛岡駅北口に臨時観光案内所を新設(設置は同市、運営は盛岡観光コンベンション協会)し、対応を強化している。

 同センターによると、4月1~13日の来訪者は邦人993人(22年同期240人)、外国人255人(同4人)。電話での問い合わせは70人(同44人)だった。北口の案内所には同期間で邦人955人、外国人117人が訪れている。

 1月から4月13日までの間、ニューヨーク・タイムズ紙に関連する問い合わせは邦人217人、外国人6人からあった。記事で取り上げられた場所に行きたいというものが多く、盛岡城跡公園について問われ、啄木歌碑や烏帽子岩などの見どころも含めて案内することも多いという。

 観光案内所は、旅行者が新幹線などを降りて最初に尋ねる場所。同センターの矢崎陽子センター長は「訪れる人はかなり増えていると感じる。案内所ならではのきめ細やかな提案をしながら、お客さま一人ひとりに寄り添った温かみのある対応を心掛けている。正確な情報を伝えることはもちろん、親身な対応をスタッフ一同徹底している」と語る。

 米国在住の日本人の旅行者が、盛岡市が紹介されたニューヨーク・タイムズ紙を持ってきてくれるなどの交流も生まれた。矢崎センター長は「一人でも多くのお客さまに、また盛岡に来たいと思ってもらえるよう、地域の観光コンシェルジュとして柔軟な対応をしていきたい」と、来訪者増を盛岡ファン増につなげる思いを持つ。


 拡充された「盛岡City Wi-Fi」アクセスポイントの看板。デジタルマップのQRコード付き

 市ではさらに、3月24日から市公衆無線LAN「盛岡City Wi―Fi」のサービスエリアを拡充。従来は盛岡駅やもりおか歴史文化館、プラザおでってなど11カ所だった設置場所に、大通のアーケード街や材木町商店街、ホットライン肴町、八幡通りなど32カ所を追加。スマートフォンやタブレットなどの端末で、無料でインターネット接続ができる。

 アクセスポイントは看板(45×45㌢)で周知。接続の案内のほか、「盛岡ノスタルジックトリップまち歩きマップ」(デジタルマップ)のQRコードも記載され、接続後すぐに散策を楽しめるようになっている。

 同マップは、22年10月に運用開始。飲食店や観光施設など、市内138スポット(4月11日現在)を写真入りで紹介している。端末の設定により日本語、英語、中国語、韓国語など7カ国語に対応。

 マップ内容の充実も図る。スポットを絞り込むテーマに、ニューヨーク・タイムズ紙で取り上げられた場所や盛岡三大麺が味わえる店舗、観光協会の推薦する店舗などを追加。当初4コースだったモデルコースは22年度末に5コースを加えた。「東北三大名城盛岡城跡めぐり」「町家と湧き水」など、興味のあるテーマで町歩きを楽しめる。
 訪れた人への対応に加え、旅先に盛岡を選んでもらうためのPRも。JR東日本の新幹線の全座席に設置される車内誌「トランヴェール」(JR東日本発行)の4月号には見開き2㌻で同市が紹介され、独特の文化の香りを漂わせている。

 県と協働で観光庁の補助事業である「観光再始動事業」に申請、採択された。今後、具体的な実施内容を決定して取り組むという。

 同市交流推進部観光課の藤谷徹課長(52)は、ニューヨーク・タイムズ紙での紹介を「盛岡の街なかの良さ、人の良さも含めて着目されたと思う。そうした盛岡らしさを引き続き大事にしていきたい」と受け止める。

 今後、大型連休や新緑の季節と、さらに多くの人が同市を訪れると期待される。「来てよかったと思ってもらえるよう対応したい。地元の方にも盛岡の良さを改めて認識していただき、おもてなしの心で受け入れてもらえたら。人の流れ、交流人口の増加による地域活性化に、市としても取り組みたい。コロナ禍で苦しんだ事業者が元気になることにもつながれば」と展望した。



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