2023年
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「いわて県民の森だより」第2巻復刻 植物を図版入りで記録 森林公園の魅力知る契機に

2023-05-19

 復刻が進んでいる「いわて県民の森だより」。植物や動物を描いた表紙絵や挿絵も好評だった

 八幡平市松尾寄木の県民の森管理事務所(伊藤盛所長)は、地域の有志らが1994年から2004年まで発行した会報誌「いわて県民の森だより」の復刻を進めている。「県民の森」の植物を図版入りで記録し、当時の森林の様子を生き生きと伝えるもの。このほど会報誌の複製をまとめた復刻版の第2巻が発行され、通算で17号分、96年12月までの約2年半の会報誌が復刻された。県民の森は74年に本県で初めて開催された全国植樹祭の会場にもなり、森林公園として長く県民に親しまれてきた。伊藤所長(74)は「手作りの会報誌を通して植物や自然に関心を持ってもらい、県民の森に来てもらうきっかけになれば」と話している。

 「いわて県民の森だより」(後に「さらんこ便り」)は、87年に地域の有志で発足した「県民の森に親しむ会」が発行。教員を退職後に八幡平温泉郷に移住し、初代会長を務めた大和敦さんと敬子さん夫妻(いずれも故人)が中心になって編集した。県民の森の四季折々の様子が記され、敬子さんが描いた植物の表紙絵や挿絵も会員に好評だった。

 「たくさんの植物がきめ細かく描かれ、当時の森林の様子が伝わってくる。県民の森の財産」と伊藤所長。

 同会は、新型コロナウイルスの影響などで活動を休止しているが、管理事務所が56号まですべての会報誌を保管しており、職員も復刻に意欲を示したため複製作業に着手。2020年4月に復刻版の第1巻(第1号~11号、64㌻)を発行。植物愛好者や地域の人たちに好評を得、今年4月に第2巻(第12~17号、56㌻)を発行した。200部発行し、第1巻も新たに200部増刷した。


「いわて県民の森だより」の復刻版を手にする県民の森管理事務所の伊藤盛所長

 伊藤所長は、全国植樹祭本県開催の前年の1973年に東京から八幡平市に帰郷。同市内のホテル勤務を経て県民の森管理事務所の職員になったが、森林公園内の学習館(旧館)はあまり利用されていなかった。親しまれる施設の運営を目指した当時の所長とともに、地域住民やペンション経営者らに声を掛けて、「親しむ会」の発足に力を入れた。

 同会は、2004年ころには会員120人ほどとなり、市内外のほか東京などにも会員がいた。伊藤所長は「熱意をもって発行にあたっていた大和さん夫妻の功績は大きい」と敬意を示す。

 来月4日に陸前高田市で、本県では約半世紀ぶりに開催される全国植樹祭の成功を願い、「県民の森も(会報誌の発行が始まってからの)この30年、多くの人に親しんでもらおうという思いは変わらず、木々も大きく成長した。これからも積極的に魅力を発信していきたい」と思いを込める。

 「いわて県民の森だより」復刻版1、2巻は、森林学習ふれあい館フォレストアイで販売している(税込み各1千円)。電話0195―78―2092。



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