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- 石垣の積み上げ作業開始 国指定史跡盛岡城跡 江戸時代から続く工法で 完了は来年11月の見込み
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2023-05-26
晴天のもと開始した史跡盛岡城跡の石垣積み上げ作業
石垣修復工事が進められている盛岡市の国指定史跡盛岡城跡で25日、昨年度までに解体した石垣の積み上げ工事が始まった。同日は修復箇所の三ノ丸北西部の現場に、施工業者と石垣積みを手掛ける業者、同市の担当者ら20人ほどが集結。巨大なクレーンで重さ約2㌧の築石を持ち上げ、石垣に仮置きする作業を慎重に進めた。積み上げは2カ年計画で進められ、完了は2024年11月を見込む。
三ノ丸北西部の石垣は、記録が残っている1705年以来、約300年ぶりの修復となる。石垣の膨らみを確認していたことから、1999年度に石垣変異調査(石と石の間の距離を測る定点観測)を開始。約20年で石の間に2㌢以上の開きが出た部分があり、地震や豪雨による崩壊の危険があったため、解体修理が始まった。
修復箇所は高さ8㍍、全長34㍍。全15段の石垣のうち根石と呼ばれる最下層を除く14段の築石343個を積み直す。2021~22年で解体を行い、解体した部分はモルタルと鉄筋で保護した。今後の作業はモルタルと鉄筋を外しながら進め、江戸時代から続く伝統的な工法で築石を積み上げていく。
基本的に元の石を元の場所に戻す形で進め、石垣の不安定を解消する。膨らみのある石垣を歴史の証拠として残すなど、最低限の修理とする方針。
工事の受注者は鹿島建設東北支店。石を扱う作業は石垣修復の経験のある小林石材工業(東京都)が担う。
築石の角度や位置を調整する小林石材工業の石工たち
4カ年の修復工事の総事業費は7億5千万円。
25日午前には、二つの石の仮置き作業を実施。安全対策を徹底しながらクレーンで築石を持ち上げ、所定の位置に置きながら、時間をかけて角度など調整した。今後も石同士のバランスなどを見ながら、慎重に積み上げを行うという。
同市都市整備部公園みどり課の佐々木亮二文化財主査(45)は「この石垣は江戸時代に一度修復されており、われわれも当時の技術を見習いながら、300年、400年持つような石垣に修復していきたい」と意気込む。
秋ころには一般の人に工事を説明する機会も設ける見込み。「随時情報発信しながら、そして皆さんに見守っていただきながら進めたい」としている。
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