2019年
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潜水士の調査 ロボットで代行 盛岡市のアイエス・エンジニアリング 岩手大と共同開発 三陸沖で実用図る

2019-11-11

コントローラーを確認する鷹觜さん

 潜水士(ダイバー)の調査作業を代行する水中ロボットの開発を、盛岡市大館町の産業用機械設計製造アイエス・エンジニアリング(磯部和夫社長、資本金300万円)が、岩手大と共同で進めている。視界の悪い水の中でも、自動で現在地を認識して対象物を計測する技術を搭載し、ダイバーが入れない水深60㍍以上も潜ることが可能。ダイバー不足で滞っている堤防や護岸などの復旧を促し、海洋資源の調査にも適用する。2022年から三陸沖での実用化を目指す。

 開発するのは、アームを使って構造物のひび割れや損傷、欠落部分の大きさを測るロボット。波の動きやにごりがある水中では、ロボットの遠隔操作が難しい。そのため自動で現在地や計測対象を認識し、その場にとどまり続ける自律制御の技術を搭載。カメラで目標を、センサーで方位を感知する岩手大の技術を応用した。

 音波で位置情報などを探知する機器もあるが、高精度で一度借りるのに数十万円かかる。このロボットならカメラとセンサー代だけで良く、数万程度で済むという。

 さらに、潜水士が入れる最大の水深は60㍍だが、このロボットは150㍍まで潜水可能。三陸沖の最大水深約80㍍に対応する。これまで調査不可能だった水深にある構造物の正確な耐用年数を調べられ、確実な防災対策を図れる。

 海やダム、川などにある構造物の土木工事などは、事前に免許と技能資格を持つ潜水士の調査が要る。しかし港湾工事に従事するダイバーは、全国に3300人ほど(2017年日本潜水協会調べ)。1995年の約5千人から減少し、平均年齢は44歳と高齢化が進んでいる。人手不足で調査が進まず、災害で壊れた堤防や護岸の復旧が遅れるなど、人々の安全に関わる影響が出ている。

 そこで、三陸で波浪発電の研究を進めているロボット工学専攻の三好扶岩手大理工学部准教授が、工業製品の組み立てと検査装置の設計制御に強いアイエス・エンジニアリングに開発を提案。作業事故が発生した工種の内訳で、約4割を占める調査作業を代行するロボットを2017年から作り始めた。

 初号機「SROV│150」の実験を18年に釜石沖で始めたが、予算不足でなかなか進まなかった。今年7月に東経連ビジネスセンター(宮城県)から「新規性や優位性の高い商品、技術開発力を有するものづくり事業」として、新事業開発アライアンス助成事業に採択されたことから、助成金100万円を活用し本格的な事業化に乗り出した。

 来春からデモ機の実験を進め、22年に商品化する。操作が難しいのと技術流出を防ぐため、ロボットは販売せず同社で調査を請け負う。三陸の海洋土木事業者に勧める他、収獲予測を立てる海洋資源の調査にも使えるため、三陸の漁協などにも提案する。

 同社の鷹觜宏技術担当(55)は「季節問わず通年の調査が可能になり、作業時間を現在の3分の2程度まで短縮できる。水中調査の自動化を災害復旧の迅速化や防災、漁業振興につなげたい」と期待を込めた。



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