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独中世の聖像と判明 岩手大 金沢准教授が調査 教材で購入、希少な文化財

2019-12-15

5年ぶりに一般公開された「三日月の上に立つ聖母子」

 盛岡市上田の岩手大(岩渕明学長)が所蔵している木彫作品「三日月の上に立つ聖母子」が、1520年代までの中世(15~16世紀)にドイツで制作されたものと判明した。調査した教育学部の金沢文緒准教授(美術史担当)によると、国内でこれだけ古い中世ドイツの美術品は希少という。14日に同大で開かれた講演で5年ぶりに一般公開し、調査方法や同大に渡った経緯などを解説。今後は制作地域や使用目的などを探るとした。

 聖母子像は高さ約1㍍、幅26㌢、奥行き17㌢で、木材はナツボダイジュ。もともとは色が付いていたようで、溝に赤や白色が残っている。同様の素材が中世末期の南ドイツで使用されており、中世末期から16世紀初頭までは「彩色」が主流だったことなどから、中世のドイツ製と特定した。

 さらに最近の調査で有名作家の作品と比較し、1500-1510年ごろのドイツの作品が構図や素材の特徴が似ていることから、同じ見本を使用した可能性があると推測。科学的な調査で木材は1449-1522年に伐採された可能性が高いことが分かった。また宗教改革によるイコノクラス(聖像破壊運動)が1520年代に始まったことから、制作時期が「1520年まで」絞られた。

 冠の木材は日本で生息するホオノキで、黒ずみ方なども本体と異なるため、日本に渡ってきた後に付けられたと推測している。

 聖母子像は、1961年に同学部特設美術科の教員が大阪府の古美術商から当時17万円で購入。観賞用でなく、制作教材として購入したとみられる。古美術商は西洋美術品の輸入が盛んだった神戸で作品を調達したという。


聖母子像を調査した金沢准教授

 金沢准教授は15年に同大に着任し、17年から聖母子像の調査を始めた。「日本ではまず見られない希少な品。宗教的観点も取り入れ、南ドイツの地域や利用目的などを明らかにしたい」と話していた。

 講演には約40人が来場。不来方高2年の斉藤夢羽さん(17)は「美術部で彫刻をしている。さまざまな条件から場所や年代を特定する調査が興味深く、美術史に関心を持った。きょうの講演を参考に美術系の大学を目指したい」と聖母子像をじっくりと眺めていた。

 聖母子像の公開は、14年の岩手大ミュージアム10周年記念事業の収蔵美術展以来。



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