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獣害対策に乗り出す 地域おこし協力隊の袴田優樹さん 薮川地区で岩手大と 勉強会開き住民を喚起

2019-12-22

薮川地区獣害対策勉強会で活動報告する袴田優樹さん(中央)

 盛岡市薮川地区の活性化を担当する地域おこし協力隊の袴田優樹さん(37)は、2019年5月から岩手大の地域課題解決プログラムを活用して、中山間地域農業の獣害対策に取り組んでいる。18年8月に協力隊に着任以来、「極寒天国・薮川地域をもっと稼げる地域に」をテーマに活動中。19年度は新たな地域産業の確立として取り組む高糖度トウモロコシの特産化と並行し、同大農学部の山内貴義准教授の協力を得て、定点カメラによる野生動物の生態調査を実施した。

 近年増加しているニホンジカやツキノワグマによる農作物の食害は、薮川地区でも問題。玉山総合事務所産業振興課によると、薮川地区の農作物の被害相談件数はツキノワグマが15年度3件、16年度9件、17年度9件、18年度17件、ニホンジカが16年度1件、17年度4件、18年度2件と増加傾向にある。袴田さんは「薮川地区ではクマにトウモロコシが食べられたり、ソバや豆類がシカに食べられたりしている」と話す。

 袴田さんが山内准教授らと実施した調査では、高糖度トウモロコシの栽培地の周辺に、定点カメラ3台を設置して計7回の生態調査を実施。どういった獣種が、どのくらいの頻度で来るかを確かめた。獣害対策を講じていたこともあり、出現回数自体はそれほど多くなかったが、ツキノワグマ、ニホンジカ、キツネ、タヌキなどが撮影された。

 取り組みの一環として、19日には地区住民を対象に薮川地区獣害対策勉強会(盛岡市、岩手大主催)を開催。山内准教授が野生動物の生態や各地の獣害対策の取り組みなどを紹介した他、獣害対策機器販売業者が電気柵の効果などを説明した。山内准教授は、駆除による対策では限界が来ているとし、目撃や出没情報、被害状況の行政への報告、電気柵などによる獣害対策など、地域ぐるみでの取り組みが必要と指摘した。

 勉強会に参加した薮川地区の日野杉勉さん(71)は「7、8年前くらいから春に水稲の苗を植えたと思ったらシカに食べられるし、そろそろ実がなってくるとまた入ってきて食べる。田んぼの岸の方を今年もがらっと食べられた。野菜は柵をして、網を張っている。それがなければ全部食べられる。トウモロコシも網を張らないとクマやカラスにやられる。電気柵はあまり知らなかったが、仕組みが分かり、検討してみたい」と勉強会の感想を語った。

 山内准教授は「他の地区に比べて、薮川地区はやり始めたばかりで、住民の意識もまだ高くない段階。まずは、アンケートなどで住民の獣害に対する意識レベルをいかに上げるかを考えている。被害があることは分かっているので、まずは問題点を洗い出す。一番は住民と行政との関係で、住民側が行政はどうせ何もしてくれないとネガティブになっているとうまく回らない。住民と一緒にやれることを模索していければ」と話した。

 袴田さんは「今回の勉強会がまずは1回目だが、自分がこういうことをやりたいので、住民の皆さんにお願いしますではうまくいかない。まずは基本的な知識を住民の皆さんと共有しながら、現状を見詰め、どうしていけるかを考えることが地域としての一番最初の取り組みになる」と意気込む。



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