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海藻からプラスチックを 岩大大学院の森谷大樹さん 三陸研究論文で知事賞 生成する微生物発見

2019-12-25

受賞を喜び、表彰状を受け取る森谷さん(左)

 岩手大大学院総合科学研究科農学専攻修士2年の森谷大樹(もりやひろき)さん(24)が23日、若手研究者を表彰する2019年度「県三陸地域研究論文」学生の部の最高賞にあたる知事賞を受賞した。コンブやワカメなどの褐藻類の海藻に多く含まれる「アルギン酸」を分解し、プラスチック(合成樹脂)を合成する微生物を、大船渡湾で発見。民間企業との共同研究から環境負荷の低いこの合成樹脂の生成技術を確立し、約7年後の実用化を目指す。

 石油原料のプラスチックの環境汚染などが問題とされる中、植物などの生物資源から作られる「バイオプラスチック(PHA)」が注目されている。PHAは、光合成で生成された植物の糖や植物油を餌に、微生物が体内に合成する脂肪のこと。このPHAによるプラスチック製品は、土や海水で二酸化炭素と水に分解され、植物の光合成に活用されるため環境循環を可能にする。石油系プラスチックの代替品として、すでに国内の大手化学メーカーが年間1千㌧ほど生産している。

 森谷さんは、国内産の原料で商品化されたPHAが少ないことと、三陸がワカメとコンブの有数な産地であることに着目。海藻の成分の多く(20~40%)を占める「アルギン酸」を餌に、PHAを合成する微生物を調査に乗り出した。

 大船渡市の碁石海岸で採取した海藻(28種類)や水産加工工場の排水(3種類)から、PHAを生成するコベティア属の細菌(微生物)を発見。この微生物によるPHAの合成方法を分析し、特許を取得した。アルギン酸の濃度を高めた分、PHAの合成量も増えたことから、微生物の働きを高める研究を大手繊維関連メーカーと進め、実用化に必要な合成量の生成を目指す。

 森谷さんは「食用以外の海藻の活用法として確立されれば、水産業の新たななりわいになり、三陸の産業振興につながる。漁業用資材にもこのPHAを活用していけたら」と展望した。

 論文の表彰は、若手研究者の育成と県内の海洋系研究施設・大学の研究促進を目的に、三陸海域を対象にした研究を評価するもの。2009年に始まった。今年は学生の部4件、一般の部2件の応募があり、大学や研究機関の職員らで各部の知事賞を選出した。

 一般の部は、東京大大気海洋研究所の佐藤信彦さん(一関市出身)が受賞。カモメ科のウミネコがサケの稚魚を採餌できる確率が低いと発見し、カモメの防除対策が他の鳥による食害を助長する可能性を示した。



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