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八幡平市のエーピーテック 腕時計型端末で見守り アプリの「Hachi」 高齢者のバイタルデータ通知

2020-02-16

立地協定を交わした大西社長、田村正彦八幡平市長、矢津社長(左から)

 八幡平市松尾寄木のソフトウェア業AP TECH(エーピーテック、大西一朗社長、資本金600万円)が、腕時計に装着した端末で高齢者の生活を見守るアプリ「Hachi(ハチ)」を発表した。アップル社製の腕時計(アップルウォッチ)から読み取った心拍数や位置情報などのバイタルデータを、数分おきに家族や医療機関が持つ端末に通知し、高齢者の安否確認を24時間可能にするもの。4月から販売し、子どもと離れて暮らす単身の高齢者らに利用を勧める。

 ハチのサービスは、アップルウォッチから装着した人の▽心拍数▽歩数▽位置情報▽転倒▽睡眠の質・時間―などのデータを自動で検知し、10分おきにインターネットで家族や介護施設、病院などのスマートフォンやタブレットなどに送信する。元気に歩いているか、よく眠れているかなどを確認でき、認知症で徘徊しても現在地がすぐに分かる。

 データは自動集計され、転倒や体調不良などの緊急時にはアラートでモニター者に通知する。腕を振って画面を押せば、装着した人がSOSを出すこともできる。通信電波が圏外ですぐ救助に向かえない山奥などでも、このウォッチを持っていれば位置情報からドローン(小型無人機)ですばやく捜索して安否確認できる。

 これらの見守り機能は訪問診療や治療の経過観察にも活用でき、緊急時は警察、消防、自治体などにも通知可能なことから迅速な救助につながる。設定次第で▽血糖値▽血圧▽血中酸素濃度▽体温▽体重▽体脂肪│も測定可能。集積したバイタルデータは、脳梗塞や心筋梗塞などの発症のメカニズムの解析に活用する計画だ。


スマートフォンとウォッチで高齢者を見守るアプリ「ハチ」

 アプリは、医療機関や介護施設を通して高齢者がいる家族に紹介する。利用料は、対象の高齢者一人当たり月額2千円。アップルウォッチやスマートフォンのレンタルサービスを利用する場合は月額7千円となる。

 自動送信されるデータ量は、ショートメッセージ程度(100バイト以下)で、月の通信量は43~50キロバイトほど。「写真1枚をクラウドに送信する通信量が約380キロバイトと比較すると通信コストが低い」。昨年10月から東京都の大学や病院で実証実験を始め、4月からアプリの本格提供に乗り出す。

 大西社長(60)は盛岡市生まれで盛岡三高、日本大芸術学部を卒業後、IT最大手のアップル社やシスコシステムズに勤め、認知症の家族の介護などのために盛岡にUターンした。趣味のスキーで訪れた八幡平市の安比高原で、市の起業志民プロジェクト事業の参加者と出会い「八幡平を日本のシリコンバレーにしたい」と起業を志した。

 「家族が誰もいない自宅や路上で高齢者の父親が転倒し、数時間後に発見されたことが何度かあった。大事に至らなかったが、こうした家族の心配を減らしたいと思い開発したアプリ」と経緯を語り「家族が安心できて医療機関などの負担も減らせるこのサービスを同市から全国に、ゆくゆくはオーストラリア、ニュージーランドに広げたい」と話していた。

 11日には同市役所で、エーピーテックと、ハチで取得したバイタデータを解析する同市大更の情報処理業データパイロット合同会社(矢津弘仁代表社員、資本金1万円)がそれぞれ八幡平市と企業立地協定を結んだ。

 総人口に占める65歳以上の高齢者割合は現在28・4%で、4人に1人が高齢者。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、40年には、35・3%になる見込み。本県の65歳以上人口の独居率は40年には19・1%と予測され、介護や孤独死などの社会問題が深刻化すると予想されている。



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