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ラットの妊娠環境人工的に 金子准教授(岩手大)動物繁殖研 音波振動装置を開発

2020-02-18

音波振動装置とラットを持つ金子武人准教授

 動物繁殖学を専攻する岩手大理工学部の金子武人准教授(45)と動物繁殖研究所(茨城県かすみがうら市)の研究グループは、研究用動物として利用されているラットを人工的に妊娠可能な状態にする、音波振動装置を開発した。この装置により、今まで妊娠環境を作るために必要だった雄のラットが不要となり、研究コストの削減や、動物福祉への貢献が期待される。現在、製品化に向けて準備を進めており、マウスやウサギなど他種への応用も研究している。

 哺乳動物は排卵後、妊娠を維持するためホルモンを分泌する「黄体」が卵巣内に形成される。ラットなど多くのげっ歯類は、人などに比べ黄体が急速に退行し、4~5日間隔で再び排卵する「不完全性周期動物」に分類される。妊娠環境を持続させるには交尾刺激を与える必要があり、雄を飼育するスペースやコストがかかる他、交尾が行われないと研究が中断するなどの課題があった。

 今回開発された音波振動装置は、雌のラットの子宮頸部に音波振動を与えることで、妊娠可能な状態(偽妊娠)を人工的に作り出すことができる。実験では交尾刺激と同様の約2週間、偽妊娠状態が持続し、移植した受精卵も着床、出産が確認された。

 金子准教授は「現在の研究では、糖尿病や高血圧など、人と同じような病気を持つ動物を遺伝子操作で作り、新薬や治療の研究に用いている。そのためには疾患モデルを持つ受精卵を雌に移植し、代理出産させる必要がある。この装置により、確実に妊娠環境を作り出せ、雄の飼育も不要になる。コストの面でも、動物愛護の観点からも非常に有効」と語る。

 現在は動物繁殖研究所と共同で、製品化に向けて準備を進めている。また、ラットと同様に実験に使用されるマウスや、食用にもされるウサギなど、他のげっ歯類への応用も研究している。

 「動物の繁殖にはかなりの手間と労力がかかるが、この装置で負担を減らせる。実験動物に限らず、産業動物や、絶滅危惧種など野生動物の繁殖にも、何かの形で活用できれば」と期待した。



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