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職員へ経験・教訓を継承 県提言集3月末に 指摘踏まえ随時改訂へ 新年度は英語訳にも着手

2020-02-24

提言集の内容について意見が出された県東日本大震災津波復興委員会(18日)

 県は、提言集「東日本大震災津波からの復興-岩手からの提言-」を3月末に作成する。経験や教訓を県組織・職員へ確実に継承し、県外にも発信して日本全体の防災力向上に寄与するのが狙い。各部局の取り組みや課題を包括的にまとめた提言は震災後、初めてとなる。外部委員で構成する県復興委員会等で初稿が示されたが、成果の強調ではなく、教訓や反省が伝わるよう見直しや充実を求める声が相次いだ。県は随時改訂で対応する考え。新年度は海外向けで英語訳にも着手する予定。

 内容は約370㌻に及び、沿岸の被災市町村や有識者から県対応へのメッセージも掲載。県は800部作成し、職員用の他、県内外に配布する予定。

 「生々しいことがたくさんあった。いろいろな反省点がある。記述のある内容もあるが、提言として力が弱い部分がある。被災者、被災市町村の目線が必要。県の目線はこれで良いが、本当の意味の提言ならもう少し盛り込まれても良い」。

 釜石市の野田武則市長は18日に盛岡市内で開かれた県復興委員会(会長・岩渕明岩手大学長、25人)で、口火を切った。

 身元の特定できない数多くの犠牲者の遺体について、火葬が追い付かず土葬が判断された発災当時の状況を説明。遺族らが安置所を巡るように運行された無料バス本来の目的を伏せて、手配された経緯も語った。

 他にも外部委員がそれぞれの立場で、内容の充実などを求める意見を口にした。

 県復興局は「書き足らないところもあった」などと認め、被災市町村の記録集との連動も検討する考えを示し、理解を求めた。

 12日に盛岡市内で開かれた県復興委員会の総合企画専門委員会(委員長・齋藤徳美岩手大名誉教授、9人)でも、出席した6人が注文を出した。

 齋藤委員長は「提言をどう各機関で役立てるか、他で大災害が起きた場合に必要な助言として役立つ」と評価した一方、「当時まずかったということが紹介され、繰り返さないために必要な対策が盛り込まれているかが大事で、多少手前みそになるのはやむを得ない」とも述べた。

 広田純一岩手大農学部教授は「次世代の県職員向けに『ひと言』がほしい。事情の分からない人が読みづらいので、教訓を経験していない人に伝えるよう率直な言いぶりを」と工夫を求めた。

 南正昭同大理工学部教授は「教訓として気を付けるべきこと、事実をしっかり書くこと」と注文。成果等の主観や価値判断を入れるか、事実に基づく記述にとどめるかの認識にも触れた。

 達増知事は20日取材に「随時改訂していくもの。ようやくまとまった形で語り伝えられるようになった部分など、どういうバランスで整理するかが見えてきた。発災から丸9年が経過しようとする中、『忘れられているんじゃないか』『書き残さないと』という大きな二つの方向の問題意識から作られている」との認識を示した。

  ◇ ◇

 【県の提言集】県が初めて部局別の諸分野を網羅した内容で整理する。達増知事の巻頭言から①被害概況と復興の取り組み状況20㌻②県の取り組み250㌻③沿岸市町村、関係団体・企業等の取り組み78㌻④資料編12㌻-等の4章構成。

 県の取り組みは▽DMATの救助対応や電源・燃料確保など初動対応、応急対策▽社会資本復旧整備迅速化や被災者の健康維持・増進など復旧・復興の取り組み▽内陸宿泊施設へ短期移動や用地取得迅速化の制度化など既存の枠組みにとらわれない取り組み▽復興財源など復興を支える仕組み―等を掲載。

 県復興計画4本柱などの各分野で有識者23人が県の取り組みへメッセージを寄せた。52の関係団体・企業の取り組みも紹介。

 県は2015年、防災・復興に関する岩手県からの提言を策定。地方自治体間の災害対応支援活動の制度的枠組み創設や災害廃棄物の迅速な処理など11項目にまとめ、国連防災会議等で発信した。



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