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いわて文化復興支援フォーラム 文学から語る3・11 コロナで一般公開は取りやめ 朗読劇、震災小説の表彰も

2020-03-09

執筆の背景や朗読劇の感想などが聞かれた懇談

 3・11いわて文化復興支援フォーラム(盛岡市、NPO法人いわてアートサポートセンター、NPO法人盛岡まち並み塾主催)が8日、盛岡市鉈屋町のもりおか町家物語館浜藤ホールで開かれた。東日本大震災からの復興を文化の面から考えようと、2016年から毎年開催している。同センターが募集した「いわて震災小説2020」の表彰式、優秀作品の朗読劇、選者と受賞者の懇談が行われた。受賞者のうち7人、関係者らを含め計約30人が出席した。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、一般公開を取りやめるなど当初の予定を一部変更して実施した。朗読劇は4月26日午後2時から同センター風のスタジオ(盛岡市肴町)で一般公開の公演を予定。以前行われた詩、短歌、エッセーの朗読劇と併せて上演される。

 フォーラムの冒頭、同センターの坂田裕一理事長は震災後にも文化活動が長期にわたり落ち込んだことに触れながらあいさつ。「文化、芸術は市民の中に起きて、暮らしの中に息づいて生活を楽しくする。その形が失われないよう、関係者のみならず多くの市民に理解いただき、どんな逆境でも文化を守り、作り、発信していく思いを持ちたい」と語った。

 最優秀賞の本堂裕美子さん(宮古市)の「片寄波」、優秀賞の銀栗鼠さん(盛岡市)の「旅の終わりに」、神久保敬里さん(久慈市)の「待つ歌をあなたに」、中村均さん(滝沢市)の「あの日から」、平澤和志さん(盛岡市)の「ウエルカムドリンク」が朗読劇として上演された。工藤有季さん(WIREWORK)、東海林千秋さん(劇団赤い風)、冨田淳治さん(みやこ市民劇ファクトリー)ら県内各地で活動する演劇人5人が出演。震災時やその後の人々の心の動きを情感豊かに演じ、作品の世界を舞台に描き出した。

 懇談では、選者を務めた作家の斎藤純さん、児童文学作家の柏葉幸子さん、元県文化振興事業団理事長の池田克典さんが、受賞者たちと震災と作品執筆への思い、朗読劇化について語り合った。受賞者たちは、日々執筆活動をしている人、経験したことをもとに初めて小説を書いた人と、立場はそれぞれ。

 震災と文学にどう向き合ったかという質問には、「身内を亡くされた方は多分、どんな形でもいいから会いたいのではないかと思っている」「文学は文章で子どもたちに残せるもの。一歩踏み出せる、勇気がもらえる物語を書きたかった」「当時実際に沿岸にいたので、何かしら書き残さなければいけないという気持ちがあった」といった声が聞かれた。

 柏葉さんは被災を経験していない書き手が、迷いながら震災にまつわる文章を書く気持ちにも言及。「物書きは取材もするが、ある程度想像でものを書く。それですてきな物語ができれば、それでいい。被災地(岩手県)にいる私たちは実体験もあるので、こういう震災の文学に一生懸命取り組んでもらうと、とてもいいものができるのでは」と期待した。

 入賞18作品は作品集「いわて震災小説2020」に収録。作品集は同センター肴町事務所(盛岡市肴町4の20永卯ビル3階)窓口で購入できる。A5判91㌻、税込み300円。



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