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「我慢させない食事」で生きがい 紫波町のシマ 有料老人ホームなど新築

2020-04-10

協調融資を資金に施設を建てた石川社長

 紫波町稲藤のシマ(石川好子社長、資本金300万円)が運営する高齢者介護施設の料理が「おいしくて健康になれる家庭的なご飯」と評判を呼んでいる。味付け自由で、かつ丼や天ぷらなどボリュームある料理も食べられる「我慢させない食事」を基本に、たっぷりの地場野菜、栄養バランスの取れたメニューから、利用者の生きがいと健康づくりを実現している。1月には金融機関から1億5千万円を調達し、老人ホームとデイサービスの介護施設1棟を新築した。

 看護師資格を持つ石川社長(68)。長年勤務した病院を辞め、盛岡市黒川の元旅館「黒川保養所」を改装して、2011年1月からデイサービスと高齢者向け宿泊業を始めた。認知症やアルツハイマー病の患者が多い老人病棟に20年間勤めた経験に基づいて、「最後に残る生きがいは食べること」と考え、心身の健康につながる自然素材のおいしい料理を提供しようと決めた。

 食材は、石川社長の出身・西和賀町で採れた米やオーガニックみその他、近くの産直店から仕入れた野菜、肉などの地場産品。「食事の中心は米」と、仕入れた玄米をその都度精米するというこだわりぶり。

 農家育ちで料理好きの石川社長が作る料理は、煮しめや豚汁、おにぎり、おひたし、酢の物など家庭料理が中心で、利用者が嫌いという料理は一切出さない。さらに、「健康志向だけで食事の楽しさを奪いたくない」と、濃い味が好きな人はしょうゆや塩などを自由に足していいと言っている。人気料理はかつ丼やラーメン、ちらしずし、てんぷらなど、ボリュームのある高カロリーなものばかり。

 一見すると健康に影響がありそうなメニューだが、入居した利用者のほとんどが、糖尿病の診断材料になるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が低下すると、医者に驚かれるという。

 「味付けやメニューを制限しない代わりに、野菜をたくさん提供している。塩分を排出する野菜の機能と、主食・主菜・副菜がある農家の食卓のようなメニューが効果につながっているのでは」と石川社長は語る。

 提供の仕方も料理をそろえてお膳で出すのでなく、利用者が席につくたびにご飯やみそ汁、おかずを一つずつよそう。「ついの住み処(すみか)になる場所。なるべく家庭と同じような食事にしたい」と、「温かいものはほかほか、冷たいものはひんやりと」を基本に、食欲をそそる盛り付けにする。食事の時間はスタッフ総出で盛り付けや配膳などをして、家庭の食卓と同じ雰囲気を作っている。

 効率性よりも利用者の「おいしい」を大切にしていると、入所直後は食が細かった人でも、朝昼晩の3食とおやつを完食するようになるという。素材と栄養バランスが身体を整わせるためか、施設内に寝たきりの利用者は一人もいない。

 また社長が看護師で、利用者の転倒や体調の急変時などに対応できることも、同施設が信頼される要因になっている。

 開業から9年間、一度も赤字を出さず利用者を増やし続けた実績から東北銀行から1億円、日本政策金融公庫から5千万円の融資を調達。1月に2階建ての施設(延べ床面積695平方㍍)を建築し、黒川保養所から移転した。翼の下で休んでほしいという思いから有料老人ホーム(定員16人)を「つばさ」に、蛍が多い地域と聞いてデイサービス(19人)を「ほたるの里」と名付けた。

 「特別なことはしていない。利用者の幸せは何かと考えたら、食事を大切にすることに行きついた」と石川社長は語り「いずれ自分もなる身。自分が食べたいと思う食事を提供して、ここなら自分の家族を任せられると思われる施設にしたい」とほほ笑んだ。

 石川社長は黒沢尻北高を卒業後、国立の看護学校に進学し、結婚を機に岩手にUターンして病院の看護師を約40年務めた。

 シマ(紫波町稲藤牡丹野22の4)の問い合わせは電話681―8657まで。



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