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高齢化乗り切る助け合い 滝沢市小岩井地区 かざばやしボランティアの会 マイカーで送迎、家事支援

2020-04-30

 滝沢市小岩井地区の住民有志が「かざばやしボランティアの会」(柳橋民治会長)を立ち上げ、4月から65歳以上の会員に、自家用車での送迎サービスや家事サービスの提供を始めた。東北運輸局岩手運輸支局の許可を得たボランティア活動で、運転免許証のない高齢者らの通院や買い物などを援助する。高齢化や人口減少が進む地域の課題を住民同士の助け合いで解決する具体的な取り組みとして注目を集めそうだ。

 「おはようございます」。21日午前8時40分、会員の古庄ヒロ子さん(79)の自宅に、かざばやしボランティアの会副会長柴田正幸さん(70)が自家用車を運転して迎えに来た。

 この日の行き先は盛岡市繋の盛岡つなぎ温泉病院。車で片道10分ほどだが、バスの便が良い場所ではなく、一人暮らしで運転免許のない古庄さんにとっては遠い道のりだ。柴田さんは、古庄さんを病院の玄関先まで送ると、いったん自宅に戻り、連絡を待って帰りも迎えに行く。近所に暮らす住民ならではの助け合いだ。

 古庄さんは4年ほど前、一手に運転を引き受けていた夫が他界した。通院、買い物と出掛けるたびにタクシーを使えば経済的な負担は大きい。近くにいるおいも送迎してくれるが毎回では、気が引けるという。「皆さんのお陰で本当に助かっている。足を向けては寝られませんね」と感謝。柴田さんは「喜んでもらえるのが何よりうれしい。長年準備し、ようやく実現した取り組み。始まったばかりだが、ぜひ長続きさせたい」と話した。

■サービスを提供する人、受ける人が会員に

 かざばやしボランティアの会は、サービスを提供する人、受ける人双方が会員となり一人月額100円の会費で運営。サービスを受けたい人の要望と、サービスを提供する人の都合を事務局が調整し、自家用車での近距離送迎(利用区域は滝沢市、盛岡市、雫石町)や草取りなど簡単な家事をボランティアで請け負う。料金は取らないが広く寄付は受け付け、運営費を補?(ほてん)。サービス提供者にはガソリン代(1㌔25円)など実費だけ支給する。万が一の事故に備え、保険にも加入した。

 地域で会員を募ったところ21日現在、サービスを受けたい人が30人、運転ボランティア12人、家事ボランティア11人(両方のボランティアをする人もいるため実質16人)が加入。発足から約20日間で21回のサービスを提供している。当初予定していた倍のペースで順調な滑り出しだという。

 事務局を兼ねる柳橋会長(72)は「高齢者が出掛けやすい環境を作ることは、健康づくりや地域の福祉向上にもつながる。自分たちもいずれは面倒をみてもらうことになる。それまでに住みやすい地域を作っていきたい」と語った。

■運転免許なければ通院・買い物難民

 滝沢市の南端、雫石町に接する小岩井地区。風光明媚(めいび)だが徒歩で移動できる範囲に大型スーパーや病院はない。JR田沢湖線小岩井駅があるものの、列車は1時間に1本程度、同市の中心部に向かうバスも少なく、買い物や通院に便利に使える状況ではない。市役所への用足しにタクシーを使えば往復で5千円程度掛かる。

 マイカーが使えるうちは暮らしに不便はないが、家族に運転できる人がいなくなれば「買い物難民」「通院難民」に陥る。こうした事情を踏まえ、小岩井自治会が中心になって長年、地域の交通対策を検討してきた。

 同自治会の調べでは地区の人口が3月末現在で2100人。このうち、70代が513人、60代が338人、高齢化率は3割を超える。自家用車での送迎ボランティアの計画を練り始めた10年ほど前は、多くの規制もあって実現が難しかったが、少子高齢化がさらに進展。高齢ドライバーの運転免許返納を推奨する社会的な背景もあり、行政側も地域主体の取り組みを積極的に応援し始めたという。

 元自治会長でかざばやしボランティアの会理事の小川元春さん(79)は「人と人とのつながりが深い、小岩井地区ならではの『人の利』があったからこそ実現できた。地域での支え合いがなければ生き残れない時代。サポートする側にとっても生きがいになるはず」と話す。



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