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試練克服へ、共に 演奏中止を充電期間に再起 藤原翼さん(31)津軽三味線奏者

2020-05-02

 当たり前の日常が見えない敵によって奪われている。新型コロナウイルス感染症が世界的に猛威を振るい、県内ではいまだ感染者が発見されていないものの、商売は休業、催事は中止・延期に追い込まれている。消費や生活、教育、就業などへ影を落としている。「終息」という出口の見えない今、突き付けられている試練が、県民それぞれにある。危機や不安へ共に立ち向かい、乗り越えよう、コロナを。

新型コロナウイルスの影響について語った藤原翼さん

 紫波町在住の津軽三味線奏者、藤原翼さん(31)は、ライブを含めた全ての演奏活動が中止になった。「どこまでこの騒ぎが続くのか見通せない。このままだと、演奏活動の継続を断念する奏者が出てくる。そう考えると心が痛い」と語る。

 藤原さんは主にライブイベントや温泉旅館、介護施設などで活動。頻度は1カ月に20回程度。新型コロナの影響で3月から徐々に減り始め、4月は24日までに一度も演奏を披露していないという。5月に自らが主催しようとしていたライブイベントも中止した。

 外出自粛が広がる中、オンラインでの津軽三味線教室開催を計画した。しかし、オンライン特有の現象であるディレイ(音の遅れ)が解消できないこと、直接手を取っての指導ができないこともあり、やむなく断念。「指導をするとすれば、少人数で、直接対面での指導しかない。それも濃厚接触に当たるのか分からず、やっていいものか」と悩みは尽きない。

 一時的に一般企業に就職し、収入を得ることで三味線の維持費や生活費を確保する方針。「ひとまず三味線から距離を置くことにはなると思う」と、寂しそうに三味線を見詰める。

 大阪府内のライブハウスがクラスター(感染集団)となったこと、その後ライブハウスそのものが批判の対象となったことに心を痛める。「僕らの業界は、箱(ライブハウス)があって、音響さんやイベンターさんなど支えてくれる業種がいて、演者がいて、観客がいて成り立つ。仕事がなくなったイベント会社のスタッフさんがカフェでバイトしてるのを見た時は驚いた」と、影響の大きさを実感。

 希望するのは、アーティストへの支援。「生活に直接必須なものではないけれど、人を楽しませる業種であり、伝統芸能の継承を担っている部分もある。このままでは、活動を続けるか辞めるか、判断しなければいけない時が遠からず来る」と危機感を募らせる。

 苦しみながらも、演奏活動ができない期間を「充電期間」ととらえ、作曲などにも取り組む。「事態が収束したら、またライブがやりたい。パワーアップした演奏を多くの人に聞いてもらい、楽しんでもらいたい」と前を見据えた。



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