2020年
6月6日(土)

2021年度新卒社員採用
選考スケジュール更新

全文を読む

地元の大型機器開発促す 県工業技術センター 寸法測定器「WASUM(ワスム)」 運搬可能で製作も容易

2020-05-19

寸法測定器の仕様を確かめる和合研究員

 県工業技術センター(盛岡市北飯岡)は、安価で運搬可能な大型機器用の寸法測定器「WASUM(ワスム、Wago Suzuki long size measuring instrument)」を開発し、2020年度から実証研究に取り組んでいる。工場などで製造した数㍍の大きな機械の長さを、ナノ(1㍉の100万分の1)単位まで正確に測ることができる装置。レールを分解すれば持ち運びも可能で、機器代含め製作費は300万円ほど。特許取得後に設計方法を公開し、北上山地が建設候補地の次世代加速器国際リニアコライダー(ILC)関連などの大型部品を開発する地場企業に活用を勧める。

 1・2㍍以上の大型機器製品の寸法をミクロン単位まで正確に測定するには、自動車メーカーなどが持つ数億円の高額な3D測定器を利用するしかなかった。正確な寸法を測れないと、品質を保証するISO9000に必要な計測法トレーサビリティー制度「JCSS」に認定されないため、資金力の足りない中小メーカーは大型機械の開発に乗り出しづらかった。

 その中で、ILCの中核装置「クライオモジュール」に使用する大型スタンドを開発中の精密機械加工、鈴木機械(滝沢市)から安価で制作可能な寸法測定器を依頼されたのを機に、同センターで光の届く位置からナノ単位の距離を測る「レーザー干渉計」を用いた寸法測定器「ワスム」を開発した。


手でスライドさせて測るセンサー付き装置


 使い方は、測定する対象物をアルミ製レールと並行に並べ、レール上に載せたセンサー付き測定器をスライドさせ、始点と終点を読み取って長さを測る。

 安価な部材と正確な測定にこだわり、レールを固定する土台は工場内の棚などに使うアングル材をベースに、軽くて強度の高いベニヤ板で固定させた。

 また、レーザーとレールがしっかりと並行になるよう、大きなボルトで土台とレールをつなげ、レールの連結から生じる歪みをゼロにした。始点と終点にセンサーを正確に当てる必要があるため、測定器を細かく動かせるねじも取り付けられている。

 レールをつなぎ合わせれば、最大10㍍まで測定可能。レールは簡単に分けられるため、持ち運びもできる。開発したのは3月で、2020年度は実証研究を重ね、特許取得後に設計方法を、県内を中心に中小メーカーに普及させる考え。

 開発した同センター素形材プロセス技術部の和合健(わごう・たけし)上席専門研究員(54)は「数百万円の寸法測定器で、これほど高精度なものは他にない。1週間程度で製作できるので自作して、大型加工品の精度向上につなげてほしい」と勧めていた。



前の画面に戻る

過去のトピックス