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オフィス整備し働き方を改革 平金商店 人材定着など目標に着手 固定しない個人席を導入 残業時間削減につなげる ノウハウ広めたいと公開

2020-06-25

働き方改革を進めたプロジェクトメンバー

 盛岡市肴町の文具・オフィス機器販売業、平金商店(平野佳則社長、資本金1千万円)が、働き方改革で整備した営業部のオフィス「Grow Park(グロウパーク)」を公開している。業務管理システムや個人の席を固定しないフリーアドレスの導入、カフェ風の応接エリアなどから、新規案件の増加、残業時間の削減、若手定着に成功。ワークスタイルを一新したノウハウを広めたいと、「人材や売り上げに悩む企業は真似(まね)してほしい」と見学を勧める。(小山歩)

 【蔓延する悪しき習慣。目指したのは5C】

 1949(昭和24年)に設立し、肴町アーケード内の文具店「パステル館」で知られる平金商店。基幹事業は、文具や事務機器などを企業や官公庁に提案する営業部門で、全部署の中で最も多い34人が在籍している。

 しかし、県外競合企業の進出やネット通販の台頭を受け、約10年前から業績の黒字化が難しくなっていた。時代遅れのワークスタイルから抜け出せないためか、若手社員が年間1~2人辞める課題もあった。

 そこで、20~40代の社員でプロジェクトを作り、業績向上と人材定着を目標に、オフィス改善と働き方改革をスタートさせた。

 抽出した課題は▽「夜遅く残る人が頑張っている、偉い」の風潮による、月平均20~30時間の残業▽業務の属人化から、有給休暇が取りづらい▽販促キャンペーンや営業目標などに、現場の意見が反映されない▽社員同士の会話がなく、ぎすぎすしたムード▽書類が山積みの机▽根性論だけの営業戦略│など、ひと昔前の企業にはよくある悪習が、常態化していた。

 改善の指標にComfort(快適さの追求)、Choice(働く場を選ぶ)、Communication(交流の場)、Challenge(挑戦する)、Change(働き方を変える)を掲げ、改革を図った。


社員の交流を生んだフリーアドレスのオフィス


 【交流、相談しやすいレイアウトに】

 以前のオフィスは、向かい合う机の集合が一つの島になるデスク配置で、LANケーブルや電話線が乱雑に配線され、山積みの書類が並んでいた。島ごとにグループを分けられ、みな無言で仕事をするため、気軽な会話も、他グループとの連携もしにくかった。

 そこで、オフィスのWi―Fi(無線LAN)を整備して固定電話を廃止し、固定の席を作らないフリーアドレスを導入。BGMを流してリラックスできる空間を作った。無駄な書類がなく、整然とした環境から、業務が効率化され、部署を超える会話も増えた。

 新設のカフェ風の応接スペースには、カウンターやテーブル約20席を設け、取引先が訪れやすくした。


訪れやすいカフェ風にした応接エリア


 【「見える化」で労働時間改善、新規案件アップに】

 社内でしかできないパソコン作業が多いことが、労働時間の超過につながっていると考え、持ち運び便利な軽量型のパソコンとスマートフォンを支給。全ての業務を外でできるようにした。

 一人ひとりの労働時間や仕事の進捗を共有できるシステムを使い、誰がどれぐらい仕事を抱え、残業しているかを「見える化」。社員に行動計画を立てる習慣が芽生え、新規案件が2倍になった。

 残業時間も柱状グラフで見える化し、残業は月平均6時間と、5分の1まで減った。

 システム導入に抵抗感を示す社員もいたが、勉強会を開いて「なぜこのシステムが必要か」を根気強く説き続けたという。

 【新型コロナで効果発揮、売り上げ・定着率増に】

 仕事内容に合わせて働く場所や机を選ぶこの「ABW(Activity Based Working)」の取り組みは、新型コロナウイルスの感染拡大から、絶大な効果を発揮。ソーシャルディスタンスやリモートワークの推奨から、仕組みをまねしたいという企業が現れ、オフィス機材の受注にもつながっている。

 今年度(19年8月~20年7月)の売り上げは、前年同期比10%増の見込み。離職者数は、プロジェクトが始まった18年8月からゼロの状態が続いている。

 プロジェクトリーダーの鈴木誕人(のぶと)営業部長(43)は「社員個々の小さな不満に、徹底的に向き合って改善した。オフィスも人間関係も居心地の良い環境になり、社員の笑顔が明らかに増えた。この社員満足度の向上を、顧客に対するサービスにつなげたい」と、気軽な見学を呼び掛ける。



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