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「時計屋カフェ」2周年記念講演会 認知症当事者と一緒に進めるまちづくり探る 本人不在の環境指摘 「できることを支えよう」

2020-07-09

認知症当事者や家族などを交えて行われたパネルディスカッション

 滝沢市内で毎月2回開催されている認知症カフェ「時計屋カフェ」が2周年を迎え、記念の講演会「認知症の本人と進めるまちづくり―注文を間違えるカフェ(仮称)を実現するにあたって」が8日、岩手県立大で開かれた。県立大学地域協働研究「注文を間違えるカフェ(仮称)運営検討プロジェクト」(代表・柏葉英美同大准教授)主催。認知症当事者の講演や時計屋カフェのあゆみの紹介、パネルディスカッションを通じて、認知症当事者や家族が暮らしやすい社会を考えた。

 時計屋カフェは、同市大崎の和田時計店の和田與四郎代表が若年性認知症の妻、幸子さんを亡くした後、認知症当事者や家族が集まり語らう認知症カフェとして、2018年7月から開催してきた。和田代表が収集した数多くの壁掛け時計がゆったりと時を刻む中、語らいだけでなく、合唱などによる交流の機会も提供し、初開催から今年7月で2周年を迎えた。8日午前には記念茶会も開かれた。

 和田代表は「毎回、盛岡など遠くからも訪ねてくるようになった。カフェに来て、歌を歌ったりすると、当事者も認知症ではないようで、普段は下を向いていても、ハーモニカの音を聞くとすごい笑顔になる。認知症当事者もそうだが、家族の相談では普段の思いを泣きながら話すこともある。認知症のサポートだけでなく、家族の思いを聞く場所としても継続していきたい」と話した。

 講演会では、若年性アルツハイマー型認知症当事者の丹野智文氏が講師を務めた。自動車販売会社のセールスマンとして活躍していた2013年に39歳で認知症の診断を受けた丹野氏。周囲の理解もあり、仕事を続けながら、認知症当事者として講演などを通じて認知症への理解を訴えている。

 丹野氏は「今まで、認知症を取り巻く環境は、本人の意志とは関係なく、家族と支援者のみで物事が決められていた。自分で決めるという視点がなかった。良かれと思ってやってきたことが当事者の自立を奪い、気持ちを落ち込ませていた」と自身の経験を交えて説明した。

 現在、自動車販売会社に勤務しながら、仙台市内で認知症当事者からの相談を受ける「おれんじドア」を毎月開催。当事者と接し、診断直後のサポート体制の不整備も感じる。「当事者の支援が全然なく、家族へも重度になってからの話だけ。家族は混乱し、当事者の行動を制限してしまう。本人はできることを一生懸命やろうとしていたのに、奪われ、諦めてきた現実がある。本人のできることを支えることを、みんなが共通認識として持ち取り組むことが必要。当事者の声を丁寧に聞くことに立ち返らなくては」と話した。

 同プロジェクトでは、滝沢市認知症の人と家族の会(櫻野正之代表)などと連携して、同大地域連携棟に隣接する滝沢IPUイノベーションパーク内にあるカフェで、認知症当事者がスタッフとして携わる(仮称)注文を間違えるカフェを20年度中に開催予定。認知症当事者ができることを確認することで生きがいや喜びにつなげる取り組み。地域住民や学生が認知症の理解を深め、バリアフリー社会の実現方法を学ぶ場としても期待される。



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