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明かりともし32年 常連と区切り 「ゼロワン」(盛岡市本町通2)が閉店 兵庫県出身の小野ひろみさん(79) 感謝の中で決断し先月末に

2020-08-11

 閉店の日を迎えた「ゼロワン」で常連客を迎える小野ひろみさん=7月31日

 盛岡市本町通2丁目のスナック「ゼロワン」の元店主・小野ひろみさん(79)=兵庫県加古川市出身=は、7月31日で同店の営業を終了し、32年間ともし続けた明かりを消した。年号が平成に代わる前年の1988(昭和63)年9月にオープン。カラオケを楽しめる店として常連客に愛され、独自のイベントを通して交流の場も提供した。小野さんは「支え、助けてくれた人たちに恩返しもできないままだが、長く続けてきたことに意味があったのかな」とほほ笑む。

 繁華街から少し離れた「寺町通り」かいわいにある、カウンター10席の小さな店。最後の営業日には20年、30年通い詰めた常連客も訪れ、「自分の青春時代が終わったようだ」と閉店を惜しみ、いつも明るい笑顔で迎えてくれた〝ママ〟に感謝の気持ちを伝えた。

 店名の由来は、大阪の高級住宅街・帝塚山(てづかやま)でレストランなどを経営していた小野さんが、夫の出身地である盛岡に移る際、「ゼロ(0)からのスタートだが全くのゼロは寂しい」と「1」を付け足したこと。客層は年齢も職業も幅広いが、「多くが、お達者クラブ(高齢者)になった」と頬を緩める。岩手医大が近くにあったことから学生の来店も多く、カウンター越しに若い人たちの人生相談に乗ったことも少なくない。

 「県外で医師になった人が閉店を知って電話をくれたり、涙を流してくれたり、店が存続できる方法を一緒に考えてくれる人もいた。いつか区切りを付けなければならないのなら、逆に今なんだと踏ん切りがついた」と、感謝の中で決断した。

 ほぼ休まず店に出た平成の30年余は、帳簿の売り上げに「0」が続いたり、大通に出したレストランを閉店するなど紆余(うよ)曲折。店を手伝ってくれた長女ら支えてくれた家族や常連客と乗り越えてきた。

 小野さんが世話人になって出会いのイベントも企画し、これまでに7組が成婚。常連客らで結成した野球チームは現在も活動を続けている。

 「スナックのママとしては商売下手で、成功か失敗かといえば経営的には失敗だろう。でも生きていくということはそれだけではないと、長く続けてきた最後に分かった」と晴れやかに語る。



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