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新しい試薬を開発 セルスペクト 新型コロナ抗体検出→感染のメカニズム解明 PCRより低コスト 高度な検査技術不要

2020-08-18

検査キットの精度を高めるセルスペクトの研究者ら

 盛岡市北飯岡の医療機器製造「セルスペクト」(岩渕拓也社長)は、PCR検査と同様に、新型コロナウイルス特有のタンパク質「抗原体」検出から感染の有無を判別する試薬を開発し、厚労省への薬事申請の手続きに入った。PCRよりコストがかからず、判定ミスにつながる高度な検査技術が不要。陽性の的中率は「PCRと同程度の50~70%」と精度が高く、感染のメカニズム解明にも役立つ。全国6都市の大学病院と連携して臨床データを蓄積中。コロナ禍のため、早期の承認を見込む。

 抗原の有無を調べるには、ウイルスの遺伝子を検出するPCR法か、ウイルスの侵入で発生する抗体を使って抗原を検出するエライザ法がある。異なる点は前処理とコスト。

 PCR検査は、ウイルスのRNA遺伝子を増幅させて判別するため、鼻咽頭(いんとう)などの粘液や細胞からRNAを取り出す前処理が要る。試薬の投入、遠心分離などを繰り返す煩雑な作業で、2~3時間を要するため、ミスが発生しやすく、誤判定の原因だった。使用する試薬や装置も高額で、検査代は1人当たり約5千円。医療費の圧迫につながると懸念されている。

 そこで、同社は、新型コロナの抗原に反応する生物由来の抗体を1カ月かけて生み出し、ウイルスの検出(=陽性)で黄色に変わる試薬を開発した。


PCRと同様に、ウイルス自体を検出して感染の有無を判別する試薬キット

 高額な試薬や装置は要らず、費用は1人当たり1千円程度。どんな研究者も使用できる検査手法のため、多数の大学病院や医療機関で導入できる。ウイルスや抗体の発生頻度、発生量も分かるため、ウイルスの仕組みを解明する糸口にもなる。

 現在、全国6都市の大学病院と、数千件の臨床データを収集中。

 岩渕社長(42)は「早期収束の願いから、ワクチン開発ばかり注目されるが、本来ワクチンは、ウイルスや抗体の仕組みを数年かけて調べた先にできるもの。その検証をすっ飛ばして治療法やワクチンを生み出すのは危険なことだ」と地道な研究の重要性を強調。

 「地味なデータ蓄積が、収束の最大の近道。検査装置は今後、感染の有無を判別するだけでなく、ウイルスや抗体の発生頻度、メカニズムも調べられる製品が重宝されるだろう」と語った。
 
製品名は「クオンリサーチSARS-CoV2ヌクレオカプシドプロテイン」抗原エライザキットで、1セット(96人分)10万円。



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