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IGR岩手川口駅前に「花のみち」 21日にオープン 女優・園井恵子の思い再現 スズランなどで彩る

2020-08-19

IGR岩手川口駅前で整備が進む「花のみち」。後方の駅舎の2階には園井の展示スペースがある

 本県出身の女優、園井恵子(1913~1945)が移動劇団「さくら隊」で巡演中に広島の原爆に遭い、32年で生涯を閉じてから75年。宝塚のスターを目指し、幼・少女時代を過ごした岩手町から旅立った時の思いを再現しようと、IGR岩手川口駅前に「園井恵子花のみち」が、命日の21日にオープンする。今月末には、女優として一躍脚光を浴びた映画「無法松の一生」(1943年)が、第77回ベネチア国際映画祭のクラシック部門で上映される。IGR岩手川口駅「園井恵子花のみち」プロジェクト実行委員会の柴田和子委員長(72)は「園井恵子は平和の尊さを身をもって伝えてくれた『平和の使者』。15歳で夢に向かったときの希望や勇気とともに、平和の大切さを若い人たちに伝えていく機会になれば」と願っている。

 現在の八幡平市松尾に生まれ、岩手町川口に育った園井は15歳の初夏、宝塚音楽学校入学を目指して単身宝塚に向かう。その際に温かく迎えてくれたのが、阪急宝塚駅前(兵庫県宝塚市)から宝塚大劇場へと、いまも続く「花のみち」だったといわれる。

 「花のみち」は岩手川口駅の旧駐輪場跡地を活用した、最大幅6㍍・延長約33㍍。宝塚のトップスターとして活躍した園井の、女優としての歩みをたどるように、「夢への旅立ち」「思い出と憧れ」など五つのゾーンで花壇を整備。スズラン、ライラックなど園井のエピソードに登場する花々で彩られる。

 事業費は、インターネットのクラウドファンディングサイトで広く支援を呼び掛け、集まった資金に個人の寄付金を加えた約350万円。

 当初は延長66㍍を予定していたが、クラウドファンディングの資金調達の状況から、第1次工事として着手。21日午後2時の落成式に向け、17日から地元ボランティアらによる花植えが始まった。

 同町川口の会社員、久保郁子さん(68)は「夢を持つことがその後の生き方を決めるということを、子どもたちにも知ってもらいたい」と思いを託す。

 柴田委員長は「多くの人に駅に降り立ってもらい、近くにある園井恵子像などゆかりの場所を巡ってもらえるよう、町全体の活性化につながれば」と期待する。


 岩手町川口の園井恵子像を訪ねた山崎エマ監督(右)。左は柴田和子委員長


 映画「無法松の一生」は、稲垣浩監督で1943(昭和18)年に公開された日本映画。主演の阪東妻三郎の代表作の一つでもあるが、内務省と戦後のGHQの2度の検閲で、一部のシーンがカットされたことでも知られる。

 このほど、KADOKAWAと、マーティン・スコセッシ氏率いるフィルムファウンデーション(米)、シネリック社(本社・米ニューヨーク、エリック・ニアリ代表取締役)がプロジェクトを組んで、最新のデジタル技術を駆使した修復を行った。

 ベネチア国際映画祭では、同じ稲垣監督の三船敏郎版(58年)が金獅子賞を受賞したことで有名。今年は新型コロナウイルスの影響で、クラシック部門は同じイタリアのボローニャ復元映画祭(8月25~31日)で上映することになっている。

 本作に合わせて上映されるドキュメンタリーの映像監督を務めたのが、東京とニューヨークを拠点にする山崎エマさん(31)。本県には「甲子園:フィールド・オブ・ドリームス」(18年)の花巻東高の取材を通して縁があり、7月には八幡平市、岩手町のゆかりの地を訪ね、園井の遺した日記など資料に触れた。

 ドキュメンタリーでは、コロナ禍の中、日本、ポルトガル、ニューヨークで本作が修復されるまでを主軸に、2度の検閲、園井の原爆死など映画製作の背景に迫る。

 平成生まれで、「戦争を知らない世代」という山崎監督は「現在のコロナ禍。映画が製作された戦時中とは比べものにならないかと思うが、明日の予定も立てられないようないまだからこそ、時代に流されないものを作りたかった」という。

 「終戦から75年の年、修復された本作が再び世に出、世界に向けて発信できることに大きな意味を感じている」と話している。



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