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〝物流改善〟の大賞に輝く 薬王堂など3社 商品積み下ろし時間短縮 平台車活用 店舗売り上げも伸ばす

2020-09-03

薬王堂発信の物流改善を全国に広げる西郷常務

 ドラッグストアチェーン薬王堂(矢巾町)をはじめとする小売り・卸し・メーカー3社による物流改善が7月、経産省が事務局の「サプライチェーンイノベーション大賞2020」で、トップの大賞に選ばれた。工場から店舗に商品が着くまで、約7時間もかかっていた商品の積み下ろし作業時間を、キャリー(平台車)を活用して60%削減。店舗の売り上げが10%伸びた実績から、ドライバーが働きやすい環境〝ホワイト物流〟をかなえるアイデアとして全国に広げる。

 受賞者は、薬王堂、卸業大手PALTAC(パルタック、大阪府)、衛生用品製造大手ユニ・チャーム(東京都)の3社。薬王堂の提案で、タッグを組んだ。

 国内工場で出荷された商品が物流センターを経由し、店舗に届くまでに発生する積み下ろし作業時間は、10㌧トラック1台で約7時間。入出庫口の渋滞も多数発生しており、ドライバーの作業効率を下げていた。

 そこで車輪を付けたキャリーと呼ばれる荷台(高さ12・5㌢、幅68㌢、奥行き39㌢)を活用。工場で完成した商品を乗せ、キャリーごと物流センターや店舗に輸送することで、商品を一つずつ積み下ろす作業をなくした。

 3月からパルタックの物流センター(花巻市)を経由するユニ・チャーム製おむつの輸送に導入したところ、積み下ろし時間は約3時間と、60%も減少。重い荷物を運ぶ必要がなく、女性や高齢者でも作業できるため、ドライバーの雇用の幅も広がると期待される。

 一般的に、キャリーでの入荷は在庫過多のリスクがあるため、大抵の小売店が抵抗を示す。しかし、薬王堂は「台風や地震などの災害時の物資不足の要因は、ドライバー不足もある。ドライバー不足による物流の衰退は、小売店の存続にも影響する」と考え、リスクを取って物流改善を提案した。

 想定外の副産物は、導入直後の2週間、薬王堂店舗で、おむつの売り上げが10%増したこと。物流改善がもたらした効果とみて、客や従業員の動きをAI(人工知能)で解析し、全国のメーカーや小売店などに提案する。

 「負担やストレスをなくすことで生まれる余裕が、サービス向上や働きやすさとなる。輸送の効率化とともに、女性や60代以上も働ける『ホワイト物流』を進め、流通の安定性を確保できれば、消費者への供給も安定する」と、西郷孝一常務(41) は展望する。

 同社は2016年1月から、従業員の負担となっていた店舗での商品補充の作業をアウトソーシング(外部委託)するなど、働きやすい環境整備を進めている。その結果、新卒の入社数は増え、離職率が下がっている。

 ◆サプライチェーンイノベーション大賞

 製・配・販連携協議会主催。サプライチェーン(商品が消費者に届くまでの原料調達から販売、消費までの流れ)の最適化に取り組むメーカー(製)、卸売(配)、小売(販)の功績を表彰するもの。2016年から始まり、5回目の今年は52社がエントリー。2位にあたる優秀賞には、サントリー食品インターナショナル(大阪府)、加藤産業(兵庫県)、セブンイレブン・ジャパン(東京都)と、大企業が名を連ねた。



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