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人生最後の装いに思い載せ エンディングドレス 盛岡市のアムール・ド・クチュール 熟練の縫製で仕立て オーダーの受け付け始める

2020-09-05

「亡くなった人や家族の気持ちに寄り添いたい」とエンディングドレスを作り上げた佐藤玲子さん(左)と、アムール・ド・クチュール代表の行徳政加さん

 人生の締めくくりを、自分らしい衣装で迎えてもらおうという「エンディングドレス」。近年の終活ブームで、従来の白装束以外の衣装を自分で選んでおきたいと願う人がいる中、盛岡市内でもエンディングドレスのオーダーの受け付けが始まった。地元の女性たちが大切な人への思いと縫製技術を込め、1着1着仕立てている。企画した行徳政加さん(49)は「エンディングドレスは、亡くなった方への最後の贈り物。ご本人、ご家族の思いや愛を載せることができれば」と心を込める。

 エンディングドレスを扱っているのは、盛岡市本町通1丁目の「アムール・ド・クチュール」(行徳政加代表)。

 シルクとサテン(綿)を素材に、ぼかし染めの技法も取り入れて熟練の縫製で仕立てた優しい色調のドレス。襟元にたっぷりとギャザーを寄せた「エレガント」シリーズや、ぼかし染めに人生の色を映した「ラ・オパール」シリーズなどを、選ぶことができる。プロのデザイナーに依頼するフルオーダーも可能。男性向けの衣装やペット用のケープタイプの衣装もある。

 納棺の際の衣装は、宗派にもよるが、日本では仏式の経帷子(きょうかたびら)が一般的。生前愛用していた衣服の着用を家族が望むこともあるが、プリントや装飾品など火葬ができない素材もあり、一部を取り外したり納棺を諦めることもあるという。

 行徳さんは「白い着物(経帷子)は旅立ちの衣装として意味があるものだが、それぞれに豊かな人生を送ってきた人たちが最後に自分らしい衣装を選びたい、その人らしい衣装を着せてあげたいという家族の思いもあるのでは」と、2年ほど前からエンディングドレスの製作を考えてきた。

 同じようにテレビでこのドレスを知り、関心を持ったというシエヌ洋装店(盛岡市)代表の佐藤玲子さん(80)と、半年以上前から試作を重ねてきた。

 佐藤さんの店は40年以上の縫製の実績があり、服地も多く扱っている。

 ひつぎに入れることができる生地選びに始まり、亡くなった人が硬直した際にも着せやすいようアームホール(袖ぐり)を広めにとったり、手術などの傷跡が隠れるよう首元にリボンをあしらうなどデザインを工夫。最期の別れは、家族の記憶にも残るため、故人の顔が美しく見える素材やデザインにこだわった。裁断、縫製も地元の熟練スタッフが担当している。

 行徳さんは「コロナ禍により、家族・親族のみで火葬や葬式を行うなど、葬儀の形も変わってきている。若いころにウエディングドレスを着られなかった方が、エンディングドレスに関心を持つこともあるかもしれない」と話し、「家族との別れは悲しく、どんなに尽くしたとしても心残りはあるものだが、少しでもご本人や家族の気持ちに寄り添うことができれば」と語る。

 エンディングドレスは、既製品が5万8千円から、フルオーダーが10万円から。問い合わせは電話090―4060―4864。ホームページ(https://アムール・ド・クチュール.com/)からも注文できる。



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