2021年
4月23日(金)

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高齢者に活力と潤いを アーベイン八幡平 合唱セミナー12年目 寄り添う選曲心掛けて

2021-03-30

アーベイン八幡平で開かれた今年度最後の合唱セミナー

 八幡平市柏台の軽費老人ホーム・ケアハウスアーベイン八幡平(箱石裕施設長、入居者43人)は、高齢者の生活に活力と潤いの場を提供しようと、2009年12月から「合唱セミナー」を開いている。参加者に寄り添った選曲と音楽活動への積極的な参加を手助けするプログラムが好評で、12年目に入ったいまもはつらつと歌声を重ねている。

 毎月第2、第4火曜日に施設内の食堂ホールで開かれる合唱セミナー。感染症対策をしながら、20年度最後の開講日となった23日は13人が集まった。

 インストラクターを務める元幼稚園教諭の馬場リチ子さん(75)=同市清水=の合唱指導と、ピアノ講師の高橋美幸さん=同市大更=の伴奏で、文部省唱歌の「春の小川」や本県ゆかりの「二戸小唄」など、1時間ほどかけてゆったりと歌った。

 ふた月ごとに演奏曲をまとめたプログラム(歌集)は、箱石施設長(76)が季節感を取り入れ、参加者の年齢から時代背景を探って選曲したもの。声が小さくなりがちな高齢者に大きな声を出してもらおうと、発声練習曲としての年間テーマ曲を選定。文部省唱歌や抒情歌、外国の名曲、2カ月かけて取り組む練習曲などを組み合わせ、年間で100曲ほどを歌い、鑑賞する。

 同施設の平均年齢は85・9歳(2020年3月現在)で、最高齢は99歳(同)。

 入居者の3分の1ほどが参加セミナーに参加し、「歌いやすい」「知らない曲を覚えるのが楽しい」と受け入れられているという。

 同セミナーは、八幡平市が2009年度から「特定施設入居者介護」の事業に取り組むことを受け、文化活動などで生活の質を向上させるアクティビティプログラムの導入を検討。高齢者の音楽活動を支援しているアクティビティプロデューサーの佐藤典子さん(78)=東京都=の提案を受けてプログラム化した。

 佐藤さんと協議を重ねながら活動を推進してきた箱石施設長は「それぞれの思いで歌うことで、一人ひとりの心に余裕や憩いが生まれればいい」と参加者に寄り添う。

 2012年度より施設側で選曲するようになってからは、音楽好きの箱石施設長が楽譜を集めて1年分の合唱曲を月ごとに配分。合唱に適した楽譜が見当たらない場合は、兄でトランペット奏者の箱石啓人さん(2019年死去)が譜面を起こしてくれたこともたびたびあった。

 セミナーの立ち上げに尽力した佐藤さんは「高齢者が前に進むためには日常生活の中の感動が必要。それを与えてくれるのが合唱であり、新しい歌との出合い。参加者に寄り添うという精神に基づいたプログラムが、10年以上ハーモニーを積み重ねる活動につながった」と評価する。

 箱石施設長は今年度で施設長を退任するが、来年度分のプログラムは作成済み。近年は参加者の年齢や性別構成が変わって好まれる歌も変化し、選曲に課題も出てきた。

 「老人福祉施設の中のアクティビティプログラムの一つとして、今後どう形作っていくか、足元を見直す必要がある」と、今後も可能な限り支援していく気持ちだ。



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