2021年
4月24日(土)

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<内陸発 震災10年>こつこつ売り上げ200万円に 南昌荘 被災地の品々扱って 購入者と沿岸住民の橋渡しも

2021-04-05

9年間、復興商品コーナーを設置していたスペース。「ものづくりの喜びも感じられた」と話す牧野さん

 国の登録記念物で盛岡市指定の保護庭園・景観重要建造物の南昌荘(いわて生協所有、盛岡市清水町)では、2012年2月から、沿岸地域の人々の手作り品や特産物を使用した食品などの復興商品を販売してきた。2021年3月20日のコーナー終了までの売り上げは203万2660円。いわて生協南昌荘担当の牧野典子さん(64)は「震災で被害を受けた方々の手元に(売り上げを)届けることができて良かった。販売を通じて、購入者と沿岸の方々の橋渡しができたのも幸せな体験だった」と振り返る。

 いわて生協は11年3月の東日本大震災発災直後から、多方面で復興支援活動に当たってきた。南昌荘では受け付け脇に幅2㍍弱のスペースを設け、手拭い帽子やアカモクせんべい、マスクケースなどを陳列。イベントや観光のために訪れた人が興味を持って手に取り、中には「一度食べておいしかったから」と再購入する人もいた。

 扱った商品は30種類以上。一番人気は野田中学校仮設住宅で知り合ったグループ「羽希羽季(うきうき)クラブ」の手作りタオルマットで、使い心地を知った人がプレゼント用にも買い求めるなど評判の品。夏に冷やして提供した塩サイダー(宮古復興プロジェクトかけあしの会)、被災を乗り越えて店を再建した小谷園茶舗(陸前高田市)の和風ビスケットも人気だった。

 商品の価格は1点数百円から1千円ほど。9年で200万円超の売り上げに、牧野さんは「こつこつ積み重ねるのは大事だなと思う。協力してくれた方に感謝の気持ちでいっぱい」と感慨を込める。

 9年の間には、手作り品の作者が偶然来園するという思いがけない交流も。商品を通して、復興に向かう沿岸地域と内陸の人や観光客をつないできた。

 牧野さんは「手作りのものや沿岸由来のおいしいものを手に取ってもらい、本当にありがたかった。10年というと一区切りという思いもあるが、区切ってはいけないこと。沿岸地域に実際に行くと、復興する町の姿や人の力強さが感じられる。これからも人と、心の行き来が必要だと思う」と力を込めた。



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