2021年
11月27日(土)

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「宝の山」と出合い、拓けた人生 「88歳のジーンズ。」出版 リフォーマーの半生つづる 盛岡市黒石野の三上れい子さん

2021-10-09

青竹色のジーンズにろうけつ染め(バティック)を施したお気に入りのジャケットを紹介する三上れい子さん

 古ジーンズの山は、古布に生命を吹き込む宝の山―。盛岡市黒石野のリフォーム・ガーネット主宰、三上れい子さん(87)は、古着を使ったリフォーマーとしての半生をつづった「88歳のジーンズ。」をリヴァープレス社(盛岡市)から出版した。戦中・戦後の岩手に育ち、豊富な海外経験も生かして、衣服の再生に取り組んできた三上さん。その技と歩みを多彩なワードローブ(個人の衣服)の写真ともに記録した。「生かせる素材は生かし、再生し、また長く着る。そのために知恵を出し合うきっかけになれば」と願いを込める。

 三上さんが衣服のリフォームを手掛けるようになったのは、婦人服のデザインを担当していた盛岡市内の注文服の会社を退職し、1976年にフリーになってから。

 80年代に入ると、市内にリサイクル店が相次いで出店。中古品が出回るようになり、使い古しのカラージーンズをほどいて洋服に仕立てるようになった。

 間もなく、青森県内のジーンズ店で下取りとして引き取られたジーンズに出合う。使い道のなかった山積みの中古品を前に、「宝の山」と心が躍ったという。


「88歳のジーンズ。」(リヴァープレス社刊)

 「88歳のジーンズ。」は、三上さんが自身の記録として80歳からつづってきた文章を基に、リヴァープレス社の加藤大志朗さんの協力で刊行された。

 SDGs(持続可能な開発計画)の先駆けともいえる三上さんの歩みが、「ジーンズ物語」「個展の思い出」「いわてに生きて」「『着る』ということ」「忘れ得ぬ客たち」「リメイクの原点」の6章構成で編まれている。

 90年代、コーヒー農園の植栽に関わることで往来が増えたバリ島でのバティック(ろうけつ染め)との出合い。その技術で染め上げたトルコ・ブルーのジーンズの美しさなど、45年に及ぶ仕事を写真とともに振り返った。人々の時間と記憶が詰まった古布を再生させる喜び、リフォームを通じた多彩な人たちとの出会いを生き生きとつづっている。

 活動の原点になっているのは、戦中戦後の物がない時代にしみ付いた「衣は資源」という考え。

 新聞記者だった父親の関係で花巻市に住んでいた45年8月、空襲により自宅が大きな被害を受け、近郊の村に疎開した。終戦後も物資不足が続いたが、「着る物もあるものを組み合わせ、繕い、少しでも長く着られるよう工夫した。受け継がれてきた知恵を見直してもらうきっかけになればうれしい」と話す。

 三上さんは盛岡市生まれで、岩手大学芸学部(現教育学部)卒。中学校教員を経て、会社員時代は東京のデザイン研究所でデザインや製図の技術を磨いた。自作の展示会46回、県環境アドバイザー(92~2009年)、県内各地でリメーク教室の講師を務める。86年からインドネシア・バリ島デンパサール市の私立SMPハラパン・ヌー・サンターラ幼・小・中・高の理事。

 本書はA5判、144㌻、1500円(税別)。県内の主な書店で販売。問い合わせはリヴァープレス社(電話019―667―2275)。



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