2021年
11月27日(土)

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アートでつながろう(下) つながり育み10年 かふぇがれりあおはす 芸術と触れ合い発信 人が人を呼ぶスペースに

2021-11-13

 「10年でやっと『おはすさん』と呼ばれて浸透してきた」と笑う店主の佐藤由喜子さん

 ■落ち着く蔵の空間 「かふぇ がれりあ おはす」(大船渡市大船渡町富沢36の1)は2011年10月、東日本大震災で屋根が崩壊した蔵を改装してオープン。店名の「がれりあ(galeria)」はギャラリーや人の集まる場所、「おはす(hojas)」は「葉」の複数形を意味するスペイン語という。店主の佐藤由喜子さん(67)は「震災を経験して、生き方を考えさせられた。この地で土に根を張って生きていくことを目標に、植物の生命力、葉のエネルギーを名前に頂いた」と振り返る。

 佐藤さんは高田高から東京音楽大に進み、1975年から大船渡市でピアノ教室を開いている。学生時代は人形劇サークルで活動し、恩師の勧めで当時から美術館巡りを楽しんできた。ピアノ教室と両立してカフェギャラリーを運営し、絵を見る機会を発信したいと考えたのも自然なことだったという。

 主に貸しギャラリーとして、美術作家や市民らが作品を発表。人が人を呼び、県内外の作家たちとつながりが生まれている。アートスペースムーニ(盛岡市前九年)との共同企画「秋の版画展」も、2014年から隔年で開催している。


 風景を中心とした菊池満さんの水彩画、メルヘンチックな絵付けの矢合直彦さんの陶作品を展示

 ■10周年展開催中
 24日までの会期で、「おはす10周年企画 菊池満・矢合直彦 二人展」を開催中。陸前高田市出身で佐藤さんの高校の同級生の画家・菊池満さん(67)=東京都=と、菊池さんを介して佐藤さんが知り合った陶芸家・矢合直彦さん(62)=山梨県=が計約100作品を展示している。

 菊池さんは、本県の海岸風景や岩手山、姫神山のある風景を描いた水彩画を展示。同店では隔年で油絵を展示しているが、今回は二人展とあり水彩を選択。夕暮れの輝く雲の描写に圧倒される「漁港・夕」など、静かな風景の中にすごみを感じさせる。

 矢合さんの作品が見られるのは、栃木県益子町より北では同店のみ。食器や花器などを多数、展示販売する。動物や植物などをモチーフにしたカラフルでかわいらしい絵付けが特徴で、毎回多くのファンが訪れるという。

 ■つながりに感謝
 10年間の歩みを振り返り、佐藤さんは「人のつながりに恵まれた。いま思えば短かったけれど、いろんなことがあった。震災直後は皆さんお疲れになっていて、ここでほっとされているというのは感じた」と語る。
 昨年からの新型コロナ禍では、予定していた展覧会のキャンセルも続いた。

 「世の中がもう少し安心して過ごせるようになれば、まだできていない作家さんの展示も実現したい。1年1年を大事に、人とのつながりに感謝をしてやっていきたい。いろんな作家さんの作品を、いろんな方に見てもらえたら」と希望を込めた。

 同店の営業日は日、月、火、水曜。午前10時から午後4時まで。企画展最終日の24日は同3時まで。問い合わせは電話0192―26―4370へ。
   (相原礼以奈)



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