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街並み再現 3Dモデルでイメージ理解 県立大 宮古市道整備で共同研究も

2019-09-17

現在作成中の市道末広町線の3Dデジタルモデルを確認する関係者

 市街地の道路整備などの計画に、3Dデジタルモデルを使って立体的に整備後の街並みを再現する取り組みが広がっている。岩手県立大と地域団体が協働で地域課題を解決する地域協働研究で、2019年3月から同大と宮古市が取り組む「市道末広町線の整備にかかる3Dデジタルモデルの作成」事業も、この一つ。従来の図面を使った計画説明よりも、地域住民らが整備後の街並みをよりイメージしやすいのが特徴で、市街地整備に限らずさまざまな場面で活用の可能性がある。

 宮古市の市道末広町線は、車優先から人優先のコミュニティー道路として整備していくため、無電柱化や車道と歩道の色分け、車が走る空間を緩やかに蛇行させることで速度を落とすなどの整備が検討されている。街並みの整備イメージや道路デザインを住民や会議の場で説明する際に、3Dデジタルモデルの活用を考え、同大と協働研究に取り組む。5日には盛岡市内で、現在作成中の3Dデジタルモデルを大学や市などの関係者が確認した。

 市道末広町線の3Dデジタルモデルは、立体モデルの3次元CAD(コンピューター利用設計システム)のデータと属性情報で構成。3Dレーザーを当てて計測した点情報を基に、緯度経度の座標データを持つ建物などを立体的に再現し、市街地のイメージや道路状況などが視覚的に確認できる。3次元CGに比べて短時間で製作でき、精度も非常に高く現実と同じ空間を再現できるのも特徴。

 宮古市都市整備部の藤島裕久部長は「図面などだとなかなかイメージがつくりづらいが、こういう3Dモデルになると立体的にかなりリアルにイメージできるので、議論もできるし、具体的な計画につながる。地元の商店街などとは、だいぶ前から話し合いを重ねてきた。まずそちらに見せていくほか、市道末広町線整備基本計画策定協議会でも見せて意見を聞きたい」と話した。

 同市と地域協働研究を進める県立大ソフトウェア情報学部の土井章男教授は「例えば8㍍の堤防を造るというときに、図面で出てきても、8㍍がどれくらいか分からない。3次元の高さ情報は、図面では想像するしかなかったが、実際に目の高さから見ることができる。人間の認知力は意外と低く、訓練しないと地図から本当の形を認識できない。そういうものを実際の視覚と同じ尺度で見ることができる」と3Dデジタルモデルの利点を挙げた。

 3Dデジタルモデルを用いて、立体的にイメージを可視化する取り組みは、東日本大震災津波の復興の現場で活用されてきた。宮古市の田老地区や鍬ケ崎地区では、復興計画の3次元CADによる家屋全体や都市の景観シミュレーションを実施した。

 この他、盛岡市内でも南昌荘庭園の3次元座標の点群データモデル作成などが行われるなど、さまざまな場面での活用が今後も期待できる。土井教授は「電柱の地中化がどんどん行われており、同時に街路の変更なども出てくる。そのときに今回のような手法が有効。どんどん活用してほしい」と3Dモデルの活用を呼び掛けた。



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