2022年
8月12日(金)

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ネコがマタタビ噛む理由発見 蚊の忌避効果がアップ 岩手大農学部 宮崎教授ら共同研究

2022-06-15

ネコのマタタビ反応に関する研究成果を発表した宮崎教授(左)と上野山さん

 ネコがマタタビに体を擦り付けて転がる「マタタビ反応」に蚊の忌避効果があることは、岩手大農学部の宮崎雅雄教授(47)らによる研究で明らかになっている。さらに宮崎教授らは、マタタビ反応において、肉食であるネコがしきりに葉を噛(か)んだり舐(な)める(舐め噛み)行為には、蚊の忌避効果を高める重要な意義があることを突き止めた。この研究成果は15日、「Cell press」(米国)が出版する科学雑誌「iScience」の電子版で公開される。

 研究は、宮崎教授、同大大学院連合農学研究科の上野山怜子さん(24)、名古屋大の西川俊夫教授、リバプール大のジェーンハースト教授が共同で行った。

 ネコがマタタビを舐め噛みして葉が傷つくことで、ネコの反応性や蚊の忌避効果に関する有効成分の放出量は10倍以上に増加する。また、傷つくことで有効成分の組成比が変化したマタタビは、無傷のマタタビと比べて、ネコの反応時間が長くなることが分かった。

 一方で、海外には、マタタビ反応と同様の作用があるとして知られている、西洋ハーブの「キャットニップ」がある。傷ついた葉中の有効成分量はマタタビの40倍。しかし、損傷マタタビは、40分の1の量でもこの損傷ニットキャップに匹敵するほど強い活性をネコに示したという。

 加えて、ネコに対する活性が強くなるのは、損傷マタタビに特有な組成比のみであることが分かった。

 また、損傷マタタビは、無傷のマタタビよりも少量で蚊の忌避効果があることが示され、ネコの舐め噛み行動はマタタビの防虫効果を高めていることが明らかになった。

 これまでの研究により、マタタビ反応は、経験や学習に基づくものではなく、物質の刺激によって行われる本能行動であることが確認されている。

 宮崎教授は「舐め噛みが行動や忌避活性を増強していることを知って、生物現象はむやみに備わっているわけはなく、何かしらの意味があることを改めて勉強できた」と喜びを語った。

 また、「なぜネコ科動物だけが反応するのかというメカニズムは分かっていない。引き続き研究を重ねて、来年、再来年には何とかこの最大の謎を解きたい」と熱を込める。

 上野山さんは「(舐め噛みによって)化合物の組み合わせが変わり、行動が増えるのはすごく驚いた。食べるわけでもなく、動物が植物を噛む意義を説明づけることができた。ごく一端ではあるが動物の不思議な行動を解明できてうれしい」と胸を膨らませる。

 実験を通じてこの研究内容が学べるプログラムが、7月30日に岩手大農学部で開催される。小学5・6年生、中学生、高校生対象。定員は16人で先着順。申し込みは日本学術振興会ホームページ内の「ひらめき☆ときめきサイエンス」から。



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