2007年 8月 27日 (月) 

       

■  〈自転車びより〉27 斎藤純 レンタル事業

 パリで7月15日から公営レンタル自転車事業「ベリブ(Velib)」がはじまっている。1年間パスは29ユーロ(約4800円)、1日パスは1ユーロ(約170円)、1週間パスは5ユーロ(約840円)。短時間利用もでき、最初の30分が無料、次の30分が1ユーロ、以降は30分毎に2ユーロとする累進課金制度を採用した。

  これが予想以上の人気を博しているという。年内の利用者数を20万人と見込んでいたが、発足後1カ月間の延べ利用者数は約165万人にもなった。これはパリの人口の8割近くに相当する。

  レンタル自転車というと日本では再生自転車の再利用といった程度の発想しかないが、ベリブは専用に開発された自転車と無人管理システムによる24時間営業で、これも人気の要因らしい。同様のシステムはストックホムルやウィーンでも取り入れられ、市民や観光客の足となっている。

  ロンドンでも自転車利用促進に本腰を入れており、年間50億円の予算が組まれているという。ロンドンの人口を700万人、盛岡の人口を30万人として単純に計算するなら、盛岡も2億円規模の予算を組めば、「日本の小都市盛岡が、自転車利用促進に2億円の予算を計上」と世界中にニュースが配信されるわけだ。

  ま、それは冗談としても、日本では自転車の利用率が高いのに、クルマに対する予算と比較して自転車にあてられる予算は少ない。そのことに疑問を感じないのは、行政も民間も自転車を交通機関として認識していないせいだろう。

  また、ロンドンがそれだけ大規模な予算を組んだのは、もともと自転車利用率が低かったせいもある。今年のツール・ド・フランス(世界最高峰の自転車ロードレース)は史上初めてロンドンからスタートしたが、それも自転車のイメージアップをはかるロンドン市長の戦略だった。

  ロンドンで自転車の利用率が高まっているのは、地下鉄などの公共交通がテロの標的にされているためらしい。また、地下鉄の料金も日本と比べるとかなり高い。パリでは地下鉄がたびたびストライキで止まってしまうことがレンタル自転車の利用を促進しているそうだ。

  したがって、パリでもロンドンでも市民は公共交通機関から自転車に乗り換えていることになる。いちゃもんをつけるようだが、それではあまり意味がない。クルマから自転車に乗り換えてもらわないと二酸化炭素の排出削減や大気浄化にはならないのだ。

(盛岡市在住、作家)

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