2007年 10月 28日 (日) 

       

■ 〈自転車びより〉29 斎藤純 今度の道交法改正は問題あり

 先月から新しい改正道交法が施行されている。飲酒運転に関する罰則の強化が大きなポイントで、マスコミも盛んに報じた。

  もうひとつ、自転車の歩道交通に関するルールも改められ、来年の6月までに施行されることになっている。実はこれが問題のある内容なのだ。

  昨年12月の本コラムで、改正道公法案の問題点を指摘した。それは以下の2点だ。

  A 自転車通行が危険な場合は定められた区間以外であっても歩道の通行を認める。

  B 自転車が車道を通行することが特に危険な場合は、自転車通行を禁止する。

  警察庁がはじめに示した「自転車の車道通行の原則を徹底する」という基本方針からこれらが外れることは明白だ。ことにBは「自転車が車道を走る権利を著しく侵害する」恐れがあることから、自転車愛好家のみならず、東京第二弁護士会や自転車活用推進研究会議員連盟も反対を表明した。また、改正案を国会へ提出する前に警察庁が行なったパブリックコメントにも異例ともいえる多数(数千件)の反対意見が寄せられた。

  その結果、今回の道交法改正にBは盛り込まれなかった。これはひとつの収穫といっていい。

  けれども、Aが残ったことは大きな禍根のもとになるだろう。

  これまでは自転車通行が認められた歩道のみ自転車通行が許されていた。ところが、実際にはそれ以外の歩道も自転車が我が物顔で走っており、歩行者と自転車の事故は増える一方だった。本来、歩行者の安全を優先するために、新しい道交法では、歩道から車道へ自転車を下ろすべきなのに、警察庁はそうしなかった。

  Aを拡大解釈することによって(危険ではない車道なんてありえないのだから)、自転車はこれまでと違い、歩道を堂々と走っていいことになる。これは事実上、歩道を自転車に解禁したに等しい。実際、共同通信社は「自転車の歩道解禁」という記事を配信している。

  警察庁はリーフレットなどに「自転車は車道通行が原則であることに変わりはありません」と記載しているが、法律の整合性という点でも首を傾げてしまう。何よりも、これほど歩行者を馬鹿にした法律もほかにあるまい。

  残念なことはまだある。自転車の傘さし運転の禁止など明確にすべきことがあるのに、今回の道交法改正では着手されなかった。

  マスコミがこういう問題点をきちんと検証しないことにも疑問を覚える。

(作家、盛岡市在住)

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