2008年 2月 21日 (木)
■ がん診断の精度向上 岩手医大にアジア初のタンパク質分析装置
記者発表する西塚哲医師とオ社プレジデント・CEOのジョン・オースチン博士(左から)
岩手医科大学(小川彰学長)にがん診断や治療法の向上が見込まれるたんぱく質分析の新装置が設置され、20日から稼働した。装置は米国企業オーションバイオシステムズ社(以下オ社)製で、これまで12台しか販売されておらず、国内はもとよりアジア地域では初めての設置。国内で研究を進めることで日本人特有の生活習慣なども加味した診断や治療法の開発につながり、臨床現場での活用が期待される。
今回、同大に導入されたのは昨年8月に母校に戻った外科医講座助教の西塚哲医師が、米国在住中にオ社と装置「オースチン2479マイクロアレイヤー」を共同開発したことが大きい。06年に第1号機が発売されて以来、まだ米国で9台、欧州で3台が稼働しているにすぎなかった。身体は民族や国の生活習慣などを背景に違いもあり、欧米の研究実績がそのまま日本で導入できるとは限らず、日本で臨床試験が可能になる意義は大きい。
装置はマイクロアレイという、多数の検体をマイクロチップに集積し同一条件で診断する方法のもの。マイクロアレイはシステム医学の分野に生かされているがこれまではDNAなどの診断に使われてきた。より詳細な診断をするにはたんぱく質などを調べることが有用とされ、今回の装置が開発された。多くの検体を正確に解析できるという。
装置は3・6センチ×1・7センチのチップに1万2000ものスポットを並べるという高度集積したものを解析できる。従来法のがんの確定診断には、ある程度の量の生検材料が必要だったが、マイクロチップ化により微量で可能になる。定量性と網羅性を高めたことで、単体の検体では困難な総体的な状態を見ることができるため、個体差のある投薬の効果や放射線治療の効果を詳細に判別が可能になるとしている。
がん治療にとっては個々の患者に対する治療法を評価することでより効果的な治療法につなげることが期待されるほか、すい臓など深部にある臓器での早期発見につながる検査方法の確立なども期待されるという。
同大の記者発表で、西塚医師は「実際に何が起こっているかはたんぱく質が分からなければ機能解析は難しい面がある。たんぱく質をDNAと同じレベルで判別させたい」と、装置の意義を語る。同大では臨床応用の早期実現を目指し研究を進める。
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