2008年 8月 6日 (水)
■ 〈岩手・宮城内陸地震〉東側に複数の断層列 岩手大グループが確認
板川林道地震断層列確認の端緒となった、国道342号付け替えに伴い出現した露頭
岩手大学の土井宣夫同大地域連携推進センター客員教授らのグループは、岩手・宮城内陸地震の震源から6〜7キロ東側の地点で、地表に現れた新たな断層露頭を確認した。既に確認されている仮称「餅転(もちころばし)−?子木立(はのこだち)地震断層列」に並行して震源寄りを走っており、地震によって複数の断層列が並行的に出現したものと分析している。逆方向の震源から西側に10キロ離れた栗駒山山頂でも地震断層とみられる隆起を確認した。これらから同グループは、内陸地震を引き起こす活断層のとらえ方を変える必要があるのではないかと提起している。
■2本目の断層列
グループは土井客員教授や斎藤徳美副学長を中心に構成。7月に震源域東側の一関市板川周辺と栗駒山をそれぞれ4日間踏査した。
土井教授らは、国道342号の付け替え道路建設に伴い出現したのり面から、地表の変位(地表の隆起)をもたらした逆断層とみられる露頭を見つけた。断層列は北東方向に約500メートルあり、同様の変位が点在していた。板川林道地震断層列と名付けた。
6月の地震発生直後に実施した調査では、この断層列から東へ3・5〜4キロ離れた地点で餅転−〓木立地震断層列が確認され、活断層として認定されている。今回、この活断層と並行するもう1本の断層列を確認したことになる。
土井教授によると、従来考えられている活断層とは異なるタイプの活断層があることを示すもの。1つの断層が一度に大きく動くのではなく、複数の断層列がそれぞれ小さい変位量で動いたのではないかと考える。これによって全体としての滑り量は同じだが、地表での見え方が異なってくる。
土井教授は「周辺地域では山に向かってだらだらとした傾斜が続く地形で、これまで活断層があると認知できなかったのは、これまでの活断層とは違うタイプの地震断層によって形成されてきたからではないか。断層が滑る量は同じだが、その滑り方が違う」と説明する。
■震源西側にも断層を発見
今回の地震規模は1896年(明治29年)に秋田県境で起きた陸羽地震に類似している。東北地方最大規模の内陸直下型地震だった陸羽地震はマグニチュード7・2で、岩手・宮城内陸地震とエネルギー量も同じだ。陸羽地震では、奥羽山脈の真昼山地付近を震源に西側で秋田県の現・美郷町に千屋断層が確認された。地表に出現した地震断層は最大3・5メートル。東側の西和賀町には川舟断層が出現。最大2・5メートルの地震断層が見つかった。
これを踏まえ、震源の東側で確認した2本の地震断層列があったなら、震源をはさんだ西側にも断層が出現すると推察し、グループは調査に入った。
その結果、震源から西へ約10キロの栗駒山(1627メートル)山頂北西部で10〜20センチの地震断層と、標高1515メートルの産沼ルートで10センチの地震断層をそれぞれ確認した。
図示すると、震源をはさんで東西の断層列が対称形で位置することが分かる。
板川林道地震断層列が震源から6キロ離れているという距離もポイントだ。同断層列から東に6キロ離れた若神子でも小さいが変位を生じており、板川から若神子まで東西6キロに2本ないし3本の地震断層が出現しているとすれば、分散して変位が縮小した可能性は高くなる。
今後、推論を強化するには、震源西側に別の地震断層を見つけることが必要という。
斎藤副学長は「活断層に対して今までより視点を広げる必要性を証明することになる。全国の活断層空白域に同種のものがあるなら活断層のあり方を見直す必要があるのではないか」と話している。
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