そのペンネームからよく女性と間違えられるという、ネコ好き、ささめやゆき(本名・細谷正之=版画家)さん。やはり同好の戸田和代さんと組んで作画を担当した作品です。
ネコという動物ほど、われわれの身近にいながらミステリアスな連れ合いはいないでしょう。だらだらと惰眠をむさぼっているかと思いきや、ぷい、と出ていくその後ろ姿が、いかにもいわくありげ。集会なんぞ開いてその地域の情報交換をしたり、そ知らぬ貌(かお)で帰ってきては甘ったるくゴハンの催促してみせたりと、なかなか油断なりません。
「ぼく」の家のネコ「だんまり」もその例にもれず、ぷい、と出ていくクチ。その名が示すとおり寡黙、しかも察するに「ぼく」の家で生まれたのでもなく、長じて迷い込んできた風来坊なのかもしれません。かねがねその行動に関心のあった「ぼく」は、ある日「だんまり」の尾行を敢行。ところが、「ぼく」は大変な体験をすることに…!
ニンゲンよ、自らをもって万物の霊長などと過信するなかれ。「かれらにはかれらの」、成熟した世界があるということ、刻んでおいた方が身のためかも、しれません!
【今週の絵本】『だんまり』戸田和代/文、ささめやゆき/絵、アリス館/刊、1470円(税込み)7歳〜(2008年) |