2008年 11月 17日 (月) 

       

■  〈自転車びより〉37 斎藤純 疋田智さん「自転車の安全鉄則」

 自転車に関するオピニオンリーダーとして精力的に活動し、多数の著書を持つ疋田智さんの新著『自転車の安全鉄則』(朝日新書)を読んだ。

  はじめに結論を言っておきたい。これはすべての自転車乗り(少数のマニア・ファンを指しているのではありません)に必ず読まれて然るべき本だ。「自転車に乗るなら、この本を読むこと」と義務化してもいいとさえ思う。

  しょっぱなから、いささか過激になった。おそらく本書が持つ勢いの影響だろう。

     
   
     
  著者の疋田智さんは原理主義の姿勢を本書で貫く。それはつまり、「自転車は車道左側通行」という姿勢だ。これは別に疋田さんが言い出したことではなくて、ちゃんと法律で定められていることだ(改めて言うまでもないことなんですが、「知らない」という人が多すぎる)。

  けれども、語弊を恐れずに言うなら、疋田さんは「法律で決められているから守れ」と主張しているのではない。車道左側通行を徹底することによって、「交通事故が減る」ことを諸外国の実例を挙げて、実にわかりやすく解説している。

  歩道通行が常識化してしまった現状で、自転車の車道左側通行の徹底は、ひじょうに難しいように受け取られかねないが、疋田さんはこれが最も安価に実現できる交通政策だという。その事例もちゃんと紹介されている(本書には紹介されていないが、盛岡市中心街のブルーゾーンもその事例のひとつ)。

  むしろ難しいのは「車道は危険」という「思い込み」を正すことのほうだ。それは誤解あるいは錯覚であって、実際は車道走行の方が「事故を減らせる」のである。ま、しかし、原理原則はそうであっても、ママチャリに車道を走れとは言えないのではないだろうか。

  それでも、疋田さんは「ママチャリに車道を走れと言えるか」と自問し、「言える」と堂々と答える。この論を展開するくだりは一種感動的でさえある。

  車道左側通行の徹底によって自転車の安全が高まれば、クルマから自転車に乗り換える人が増える。それは二酸化炭素の排出抑制になる。さらには、医療費の削減にも効果を上げる。この部分も重要だ。

  医療費の支出を抑えるためには健康であればいい。クルマから自転車に乗り換えるだけで健康な体をつくることができ、それが将来の医療費削減につながる。これは夢物語ではなく、諸外国ですでに認知されている。

  というわけで、ぼくは本書で久々に知的興奮を満喫した。読み進めていくうちにぼくは姿勢を正されるような思いがしていった。自転車に関する市民活動を行なっていくうえで大いに励みもになる。

  再び明記する。この本は我々自転車乗りはもちろんのこと、交通行政に関わる人々、そして学校の先生たちにもぜひ読んでいただきたい。さらには、警察の交通関係の方は本書と真摯に向き合ってもらいたいと切に願う。

  さて、その疋田智さんが盛岡にいらっしゃいます。11月22日土曜日、午後2時からカワトクデパート7階ロイヤルルームで疋田さんのトークショーがあります。入場は無料です。

  なお、当日と翌日はカワトクデパート前で自転車祭りを開催しています。ぜひ足をお運びください。
(盛岡市在住、作家)

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