2009年 3月 4日 (水)

       

■ 〈都市の鼓動〜リレーコラム〉31 竹原明秀 コンベンション都市と盛岡は言うが

     
   
     
  研究者は新たに得られた研究成果を携え、毎年のように全国各地で行われる各種集会や学会、研究会、会議などに出席する。そこでは全国から数多くの研究者が集まり、最先端の研究成果や得難い情報を共有し、同胞の近況を知ることができる。さらに開催地の地酒や郷土料理を飲み食いし、近郊の観光地を巡る。

  研究者はいつも研究室に閉じこもり、難しい顔をしているわけではない。多種多様な情報を得るために、営業マンのように動き回る。さらに得られた成果を社会に還元しなければ研究者として認められない風潮が強まっている。そのために好む好まざるとにかかわらず、各種集会や講演会などに積極的に出席しなければならない。近年、研究者のかかわる集会数や参加者数は増加しており、景気に左右される企業の展示会やイベントなどとは異なる動きがある。

  コンベンションというと一般の方は、企業の展示会やコンサート、スポーツ大会などのイベントを思い浮かべるかもしれない。しかし、研究者が主体の集会も重要なイベントである。駅前広告塔に○○学会全国大会と掲示されても、関心を持つ方はほとんどいないと思われる。一般の方が直接、かかわることは非常に少ないが、各種集会が開催されることによって開催地には億という単位のお金が落ちる場合がある。交通、宿泊、飲食、土産購入、施設使用、印刷など、一連の連鎖によって経済波及効果は極めて大きい。そのため、「コンベンション」は新しい産業として位置づけられている。

  さて、盛岡市はコンベンション都市として成立しているだろうか。盛岡観光コンベンション協会のホームページには、コンベンション都市として成立させる3つの基本的要件が挙げられている。その3つとは@交通のアクセスが良いこと、A会議イベント施設・宿泊施設が整っていること、B観光地・土産品・郷土料理等の観光資源が豊富であること、である。盛岡市はすべての要件を満たしており、毎年、110件のコンベンションが開催され、10万人の参加者が集まっているとされ、コンベンション都市と位置づけている。

  盛岡市において2008年度に行われる大規模な研究コンベンションは25件ほどあり、学術集会の中には5000名を超す大規模な全国大会が含まれている。これほど大規模になると宿泊施設は盛岡市内では足らず、花巻温泉や北上市に宿泊した参加者もいる。

  また、イベント施設は1カ所にまとまらず、市内分散型となり、要件Aを満たせない状況となる。また、要件Bの観光資源に関して、全国から来られる方々に高い満足感を与えることができるのか、今一度、検証する必要がある。とすると盛岡市がコンベンション都市として成立している理由は交通アクセス、新幹線の存在が大きいことになる。

  全国規模の集会や大会は各地方で受け、地方で開催場所が決定されることが多い。東北地方の場合、仙台市はすべての点で頭ひとつ出ており、開催地の第一候補となる。その仙台市が降りた場合、それ相応の都市が候補になり、その条件として新幹線が止まることは重要となる。

  盛岡市が仙台市の後じんから脱却し、コンベンション都市として、東北地方から最初に選ばれる都市になるためには、要件AとBをさらに充実させることが必要であろう。コンベンションは都市産業と述べたが、市民にとっては生涯学習のきっかけとなるチャンスも提供される。つまり観光都市と共に文化都市への第一歩となる。

  (NPO都市デザイン総合研究センター理事長、岩手大学教授)

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