2009年 3月 10日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉65 及川彩子 音楽院の行く末

     
  音楽院のラウラ先生  
 
音楽院のラウラ先生
 
  「ピアノの天才少女」と評判の高い現役高校生のリサイタルが、ここアジアゴ近郊の町でありました。北イタリア出身で、名はアルメリー二・レオノーラ、15歳。

  彼女は、ヴェローナ音楽院教授でピアノ指導の第一人者ラウラ先生の愛弟子。先生とはお付き合いもあり、「是非…」と薦めもあって、娘たちと聴きに行きました。

  日本の音大卒業に当たるソリスト・ディプロマ(国家演奏家資格)を12歳で取得したとあって500席の会場は満員。指先から紡ぎ出される音は、おとぎ話でも語るかのように、バッハからリストまで2時間のリサイタルは、あっという間に過ぎていきました。

  レオノーラに限らずイタリアの音楽家たちの演奏は、職人芸にも似た個性ある「語り口」が共通しています。

  イタリアに住み始めた頃、小学校に音楽の授業がないこと、楽器を習っている子が少ないのが、とても不思議でした。

  この国で音楽を勉強するには、コンセルヴァトーリオ(音楽院)に学び、専門家を目指す人は、卒業試験で演奏家資格を取らなければなりません。音楽院は、孤児を教会に集めて宗教音楽を教えたのが始まりで、その歴史は14世紀にさかのぼります。

  今はどの州にも音楽院があり、授業料は年約3万円。入試を通れば6歳から入学できます。生徒は、学校に通いながら週に2、3日、午後から実技・合奏・音楽史などを学びます。毎年進級試験があり、落第すると退学ですが、レオノーラのように飛び級で卒業する子もいる実力主義の専門学校なのです。

  数年前、この音楽院を閉鎖し、音楽大学に切り替える国の方針が出されました。教養など総合的レベルアップが目的とか。でも「芸術は学校システムとは別の世界。若い才能を発掘し育てるには大学では遅すぎる」と、ラウラ先生はじめ音楽院の先生たちが猛反対。そのためか計画は進んでいません。

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