2009年 3月 18日 (水)

       

■ 〈都市の鼓動〜リレーコラム〉33 村上功 「協創」の精神で観光の地域づくりを

     
  観光客入込数の推移(岩手県統計データ)  
 
観光客入込数の推移(岩手県統計データ)
 
観光赤字国といわれる、日本が観光立国の実現をめざしている。昨年「観光立国推進基本法」が成立し、10月には観光庁が発足した。

  日本の観光の市場規模は、平成18年度で23.5兆円となっており、対GDP比5%弱を占めている。このうちの約7割は、国内宿泊旅行といわれている。

  地方は経済危機によって、税収が直撃されている。これまで地方交付税が大幅に減額され、財政状況が悪化しているところに追い打ちがかかった格好だ。外需に依存し、わが世の春を謳歌(おうか)してきた日本にとって、大きなツケがまわってきたことになる。今後は、これまでの反省を踏まえ、他力に過度に頼らない、内需への転換を図ることが喫緊の課題となっている。

     
  岩手の代表的観光資源浄土ヶ浜  
 
岩手の代表的観光資源浄土ヶ浜
 
  こうしたなか観光資源を多くかかえる、地方の浮揚策として、観光振興の重要性が増しているといえる。観光振興は、岩手県にとっても大変重要な課題である。世界遺産登録を目指している平泉や陸中海岸および十和田八幡平国立公園など、風光明媚(めいび)な質の高い観光資源や物産が多く存在している。しかし、これらの地域にとって有用な資源が地域振興に十分役立っているとは、必ずしもいえない。

  図は、平成14年から18年の5年間の県内の観光地別の客の入込み数の推移を表したものである。これを見ても分かるとおり、近年は停滞傾向にある。過去10年間にさかのぼってみると、平成9年から18年の間の入込み数は5%減少している。

  観光を軸とした地域振興の成否は、道路や鉄道、空港といった交通ネットワークと密接に関係している。図で分かるとおり、観光客は北上川流域に集中し、沿岸部への人の流れが十分つながっていないのが現状である。

  県北・沿岸地域の振興を推し進めるためには、交通ネットワークの整備水準を高め、広域観光に対応した移動の円滑化を図ることが不可欠である。

  また、これらに加えてソフト面での対応策が必要である。このもっとも象徴的なこととして、あげられることは宮崎県の東国原知事のPR作戦である。氏はメディアをフルに活用し、独自の素養をいかしたPRが功を奏している。

  わが県において、同様のことはできないとしても、地道なPR作戦は、岩手県人の得意とするところではないだろうか。

  例えば、企業の協力を得るPR手法である。企業などが出張等で他県に出向く場合、自治体や観光協会等が用意した観光パンフレットを、取引先で配布してもらうのである。こうしたことによって、岩手に興味をもってもらう機会をつくり、来訪者を増やすことも一考する余地がある。地域がよくなれば、地元の企業にとっても消費の拡大など多くの好循環が期待できる。

  個人や企業など立場はさまざまでも、地域をおもう気持ちは同じ、社会の一員にかわりない。

  これ以上、地方の地盤沈下を起こさせないためにも、衆知を集め〓協創〓の精神に基づいた地域づくりシステムがいま求められている。

  (NPO都市デザイン総合研究センター理事、技術士)

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