2009年 3月 25日 (水)

       

■ 〈口ずさむとき〉117 伊藤幸子 「角川全国短歌大賞」

 帰らずに今朝もフェンス
  に凭れゐる家出少女のや
  うな自転車

高井忠明
 
  3月11日、ホテル東京ガーデンパレスにて、「第1回角川全国短歌大賞」の短歌大会および懇親会が行われた。これは角川書店の総合雑誌「短歌」創刊55周年記念として、昨年11月28日締切で募集したものである。私は、うちの方の八幡平短歌会の人達に「東京大会」への参加を熱く呼びかけた手前、出さざるをえなくて、枯木も山の何とやらで締切寸前に作品を出したのだった。

  それが自由題で、小島ゆかり選入選との通知が届き、さらにハガキやファクスで大会懇親会への出席を促され上京した。10時すぎ、お茶の水駅に降りたつと、その改札口で北海道の同門の女流とお会いして偶然を喜び今日の入賞を祝い合い、会場に向かった。

  第1回ということで主催者側も大変な気の入れようで、若いスタッフの方々がゆき届いた対応をして下さって心地よかった。

  応募総数8054首の中から掲出歌が大賞受賞作品。高井さんは兵庫県宝塚市の70代後半ぐらいの方。受賞の弁もやわらかい関西ことばで「はじめ、副賞10万円と聞き、もしや今話題のふりこめ詐欺かと思ってしまいました」と笑わせた。初句「帰らずに」から上の句に自転車を擬人化して、あたたかい作品になっていると高い評価が得られた。

  また題詠部門として、現在居住している地域の特色や風土を詠み込む規定の題詠大賞は「ひざまずき原爆死没者名簿に風とおす白き手袋 また夏がくる」広島県の上條節子さんが受賞。ほか全県海外からの作品も並ぶ。

  岩手の題詠では一関市の阿部ヒサさんの「白白とガードレールが垂れ下がり地震に断たれしまつるべ大橋」が柏崎驍二選入選。(当日欠席)そして拙作「離陸してしばらく鳴ける白鳥も列整へばしんと飛びゆく」がまぐれで入選した。ひき続き200人ぐらいの懇親会も、旧知の方々も多く実に楽しいものだった。私は、この第1回というのが嬉しかった。思いがけず春一番の朗報にふれて「少女のやうな」感動がよみがえった。

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