2009年 3月 31日 (火)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉 八木淳一郎 ガリレオの贈り物(その6)

 オランダの眼鏡師によって望遠鏡が発明されたことを知ったガリレオは、自ら考案し製作した望遠鏡を夜空に向けてみることを思い立ちました。そして1609年の夏、手始めに月にレンズを向けたのでした。

  それまで、人々は月が完全な球体でしかも表面は凹凸などのない滑らかなものと思っていました。レンズをのぞいたガリレオはわが目を疑いました。そこには、滑らかどころか反対にごつごつと険しく起伏に富んだ月の素顔があったのです。

  ガリレオが海と呼んだ比較的平たんな黒っぽい部分は今でも海という名がそのまま用いられています。

  個々の名前はガリレオによるものではなく、主としてかの空気望遠鏡で有名なポーランドのへベリウスが1647年に著した「月面図」に海や山脈の名を付けたものが今でも使われているのです。

  晴れの海、雨の海、静かの海、豊かな海、…。これらのうちのいくつかは聞いたことがあるかもしれません。

  病の海とか危難の海というのもありますが、嫌な感じです。腐敗の沼などというホラー映画に出てきそうな不気味な名前もあります。

  どうしてまたこんな名前をつけたのでしょう。力強いものでは嵐の大洋でしょうか。ロマンチックなものに虹の入江、霧の入江、夢の沼、緑の海、夏の海、秋の海などがあります。

  お酒の好きな人には神酒の海というのがあります。名月をめでながら一杯というときに、神酒能美は月の右側のやや下、あのもちつきをしているウサギの耳の一つがそれですからじっくり眺めてみて下さい。

  ところで、月の裏側(向う側)はどのような地形になっているでしょうか。

  月はいつも同じ側を見せていますが(厳密には、月の軌道が楕円であることや月が振動するような動きをしているため、半分より少し多めに見ることができます)、1959年の旧ソ連の探査衛星ルーニク3号を皮切りに、わが国の「かぐや」に至るまでたくさんの探査機が送り込まれて月の裏側との大きな違いの一つに裏側には海が極端に少ないことがあげられます。

  となれば、海と呼ばれる暗い部分がわたしたちの側にあったお陰でウサギのもちつきなどいろんな形に見立てたり想像する楽しみができる分、幸運だったといえそうです。

  しかし、どうしてこのような違いができたのか。なぜ月はいつも同じ側をわたしたちに向けているのか。月がなかったならわたしたち人類は地球上に生まれなかっただろうといわれますが、それほどに月は重要な存在なのでしょうか。

  いろいろな謎が解き明かされ、一方で新たな疑問も生まれます。ガリレオが初めて月の素顔を見てから400年。宇宙観の変せんは人類の未来にどうかかわっていくでしょう。

(盛岡天文同好会会員)

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします