2009年 4月 1日 (水)

       

■ 〈都市の鼓動〜リレーコラム〉35 北田節男 地域エゴ丸出しの批判受けないように

 春の陽に誘われ片づけしていた物置で、黄ばんだ新聞を見つけた。昭和26年8月10日付(60年前)の地元紙で「県都建設に要望す」と題す社説が載っていた。そこでは「市民の意見調査、盛岡市の機能調査、近郊調査」などを提案し「広告に対する制限、広義の史跡保存、各種記念建造物のあり方」などを勧告していた。何か、今日的な課題とダブり鮮明な記憶として残った。

  今年、盛岡市は市制施行120周年を迎え、これまでのまちづくりの歴史を振り返りながら「未来を開く元気なまち盛岡」をキーワードに諸施策の展開を図るという。

  県庁・市役所等の官公庁が集積する「盛岡城」跡を中心に広がった市街地は、戦災を受けなかったため城下町開府以来の区画が多く残されていた。「昭和45年・岩手国体」(1970年)を機に、県内各競技場と結ぶ道路や競技会場周辺の国体関連施設の整備が集中的に行われ、さらに、東北新幹線・東北縦貫自動車道・花巻空港へのジェット機就航などの高速大量交通時代に対応した「県都・盛岡と県内の主要な広域生活圏中心都市を90分で結ぶ総合的な交通網の整備」や東北新幹線の八戸延伸・秋田新幹線の開通など、拠点性機能を高めながら街の姿かたちを大きく変えている。
     
  県営運動公園陸上競技場  
 
県営運動公園陸上競技場
 

  そんな折、「老朽化している県営総合運動公園陸上競技場を第二種公認に向け改修すること」について、岩手県と盛岡市の考え方に相違があり波紋を広げている。第1種公認の見送りは事実上2016年開催予定の2巡目・岩手国体の主会場から外れる可能性を意味しているのだという。

  盛岡市側は「交通・宿泊・役員・練習施設などが充実していること。大規模競技場として整備し、Jリーグやラクビー世界選手権の開催も視野に子供に夢を与えたい」と力説する。また、岩手県側は「財源を選手強化に集中し県営運動公園内にドーム型練習場を新設し、冬場の練習環境改善やスポーツ医学の導入など全競技共通の課題克服を図り、広く開放し生涯スポーツの拠点にもしたい」と説明している。

  財政の厳しい情勢下ではあるが「昭和45年・岩手国体」に合わせて整備された道路・橋梁のインフラや国体関連施設も、既に築40年を経過し厳しい気象条件下の劣化や経年変化による老朽化が進み、速やかな補修が求められている時代でもある。

  国体の主会場となる開閉会式会場の決定は、国体準備委員会の調査・検討を経て、5月下旬に決定されるという。その間、中核市に移行した新生盛岡市には、県都機能の充実を図り北東北の交流拠点都市として大いなる飛躍を目指してほしい。もって県全体の発展を誘導するためにも、盛岡広域生活圏内町村との連携・調整はもとより、県内市町村の理解を広く得られる努力を尽くし、卑しくも地域エゴ丸出しの批判を受けることのない施政を期待する。

  (NPO都市デザイン総合研究センター理事)

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