2009年 4月 20日 (月)

       

■ 立体視画像で地震調査 岩手大学リモセン研究開発技術に文科省が注目

     
  地球観測衛星だいちのデータで作成したカラー立体視画像を前に意見交換する横山隆三特任教授ら  
 
地球観測衛星だいちのデータで作成したカラー立体視画像を前に意見交換する横山隆三特任教授ら
 
  岩手大地域連携推進センター・リモートセンシング実利用技術開発室の横山隆三特任教授らが、地球観測衛星のデータから作成している地表のカラー立体視画像(パンシャープン立体視画像)が、文科省・地震調査研究推進本部の基礎資料として活用されることになった。今年度から5年間で日本全土のカラー立体視画像を作成し、同省が事業委託している地震予知総合研究振興会・地震調査研究センター(東京都千代田区)へ提供する。活断層研究などを進める新しいツールとして期待されている。

  立体視画像は06年に日本が打ち上げた地球観測衛星「だいち」のデータを利用する。だいちは2・5bの大きさまで判別できるセンサーを搭載。このデータを合成して作成する立体視画像は、広範囲にわたる地表の被覆状態や地形の凹凸を一度に観察できる特色がある。

  横山教授らは昨年6月の岩手・宮城内陸地震の際も、東西70`、南北35`に及ぶ被災地域を2万5千分の1にしたカラー立体視画像を公開。崩落個所や土石流の広がりが一目で分かり、航空機によるピンポイント的な撮影や地上からの調査では把握できない被災状況を知る有効な資料として注目を集めた。

  地震調査研究推進本部は95年の阪神・淡路大震災を受けて制定された地震防災対策特別措置法に基づき、政府が一元的に地震調査研究を推進するために設けた特別機関。同本部は「活断層基本図(仮称)」の作成を目指しており、地震調査研究センターは活断層の詳細位置情報などの調査を行う。

  同センター解析部の松浦律子部長は、広大な範囲を高い解析度で見渡せる立体視画像は「これまでの研究手法を一変させるツールになる」と評価。全国土の立体視画像が整備されれば「既存の活断層はもちろん、研究者の意見が分かれていた活断層についても意見交換し一本化していくことが可能になる。専門分野の違う研究者が同じ視点に立って議論でき、学際的な活用の広がりも期待できる」と話す。

  地形学が専門の今泉俊文東北大教授も「衛星画像は従来、見落とされていた活断層の発見や水系からの地震研究などにも活用できる。時系列的な変化を観察できるため災害前後に使い道がある」と有用性を説く。

  横山教授は70年代からリモートセンシングの活用研究に取り組み、06年度からはだいちを使った宇宙航空研究開発機構(JAXA)の受託研究を推進。これまでに産業廃棄物の不法投棄監視システムの実用化などで成果を挙げてきた。「活断層研究への利用は、不法投棄監視システムに続く、衛星画像活用の第2段。衛星は日本だけでなく世界中のデータの収集が可能。企業などとの共同研究を進め 、新たな情報産業の立ち上げにもつなげたい」と意欲を燃やしている。

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